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第二回 地域経済の再生における金融機関の
      役割に関するアンケート
企業再生支援機構を活用した、地域の面的再生に期待

2010年05月12日

各  位

株式会社日本総合研究所

●地域金融機関の景況に対する評価は依然厳しく、「悪化している(47.2%)」「非常に悪化している(2.8%)」を合わせて50%が「悪化している」と回答
●貸出先の事業再生手法の主なものは「経営改善改革等の作成と実行支援」「返済期限の延長」にとどまり、より踏み込んだ「ビジネス・モデルの転換に関する提案」については8割が行っていないと回答
●複数社まとめて面的再生を行う手法の効果に期待するも、8割以上が実績なし
●地域再生のプレイヤー(機関)として、地域金融機関と中小企業再生支援協議会の効果は認める一方、政府系金融機関や民間ファンドに対する評価は低い
●企業再生支援機構の有効性は7割以上が支持。「中立的な立場で債権者調整ができる」「債権買取により、開示債権の処理及び事業再生ができる」がその理由

株式会社日本総合研究所(代表取締役社長:木本泰行 本社:東京都千代田区)は、第二回目の地域経済の再生における金融機関の役割に関するアンケート調査を2010年3月~4月にかけ、地方銀行・第二地方銀行・信用金庫を対象に実施しました。
主な調査結果の概要は下記の通りです。

アンケート概要

調査手法: 郵送配布、郵送回収
調査対象: 地方銀行、第二地方銀行、信用金庫
配布数: 117票
回答社数: 36票
回収率: 30.8%

調査の目的

2009年10月、地域の中核企業の再生を担う機関として、国、地域金融機関等が出資する企業再生支援機構が発足しました。今後、企業再生支援機構の活用が進む中で、地域再生と関係諸機関の関与のあり方についても議論が深まってくるものと考えられます。
そこで、当社では本調査を通じ、地域におけるヒト・モノ・カネ・情報の結節点である地方銀行・第二地方銀行等の地域金融機関に対して、地域経済の現状と地域再生に向けた取り組みの状況、今後の方針等を調査することにより、当該分野における今後の政策のあり方について、当調査を通じて検討しました。

主な調査結果

  • 地域金融機関が感じる景況は、前回調査よりさらに悪化、建設業の深刻さが一段と浮き彫りに
    地域金融機関にこの1年の景況についてたずねたところ、「足踏み状態」が50.0%、「悪化している」が50.0%(「悪化している」47.2%、「非常に悪化している」2.8%)となり、地域金融機関の景況に対する評価は依然として厳しい。景気の動向が深刻な産業分野については、建設業が「非常に深刻」66.7%、「深刻」33.3%を合わせて100%が「深刻」と回答している。

  • 地域金融機関が貸出先に行う事業再生手法は、「経営改善計画等の作成と実行支援」「返済期限の延長」が中心、より踏み込んだ事業再生である「ビジネス・モデルの転換に関する提案」については8割近くが「行わない」と回答
  • 地域金融機関が貸出先の事業再生に際してどのような手法を実施しているかについてたずねたところ、「経営改善改革等の作成と実行支援」が最も高く、「よく行う」(63.9%)、「行う」(36.1%)を合わせて100%、次いで「返済期限の延長」(同97.2%)。本来、より踏み込んだ「ビジネス・モデルの転換に関する提案」を行っていく必要があるが、「行う」との回答率は22.2%にとどまり、「あまり行わない」75.0%、「行わない」2.8%を合わせて8割近くが「行わない」と回答している。

  • 複数社まとめて面的に再生を行う手法(詳細は添付資料p.7を参照)については、当該手法の効果は認めるも実績は少数、課題としては「持ち株会社への統合後にリーダーシップをとる人材の確保、教育」及び「地域の利害関係の調整」が過半数
  • 複数社まとめて再生を行う手法が地域再生に効果があるかどうかについてたずねたところ、6割以上が「効果があると思う」と回答。しかし、当該手法を用いた実績については「ある」が16.7%に対して、「ない」が83.3%と8割以上が実績を有していない。当該手法の課題としては、「持ち株会社への統合後にリーダーシップをとる人材の確保、教育」55.6%、及び「地域の利害関係の調整」52.8%といずれも過半数となった。

  • 地域再生のプレイヤー(機関)として「期待する成果をあげている」との評価は、「地域金融機関」、「中小企業再生支援協議会」がそれぞれ7割以上
  • 地域再生を担うプレイヤー(機関)は期待する成果をあげているかどうかについて、「地域金融機関」が77.7%、「中小企業再生支援協議会」が72.2%と、それぞれ7割以上が「成果をあげている」と回答。一方、「あまり成果をあげていない」が最も高かったのは「政府系金融機関」であり55.6%、次いで「中小企業再生ファンド」27.8%、「民間ファンド」25.0%だった。

  • 国が出資する企業再生支援機構(2009年10月設立)に対しては「有効」との回答が7割以上、その理由としては「中立的な立場で債権者調整ができる」が8割以上 今後は企業再生支援機構を活用し、地域の中堅・中核企業を複数社まとめて再生を行う、いわゆる「面」の再生を実現していくべき
  • 国の出資により設立された「企業再生支援機構」は、いわば国が設立した企業再生ファンドであり、地域の中堅・中核企業の再生を主な目的としている。この企業再生支援機構の事業再生における有効性については「有効」が77.8%と7割以上を占め、「あまり有効でない」(13.9%)を大きく上回った。有効である理由は、「中立的な立場で債権者調整ができるから」が85.7%と最も高く、次いで「債権買取により、開示債権の処理及び事業再生ができるから」が50.0%となった。
    企業再生支援機構の設立は、国が関与する機関ならではの中立的な調整機能を発揮することにより、地域の中堅・中核企業を複数社まとめて再生を行う、いわゆる「面」の再生を実現できるチャンスでもある。企業再生支援機構は、今後、従来の地域再生のプレイヤーだけでは担いきれていない事業再生の機能について新たなモデルを提示していくべきである。

※調査の詳細については、別添資料(「第二回 地域経済の再生における金融機関の役割に関するアンケート調査詳細」)をご参照ください。


日本総合研究所について

株式会社 日本総合研究所は、三井住友フィナンシャルグループIT会社であり、情報システム・コンサルティング・シンクタンクの3機能により顧客価値創造を目指す「知識エンジニアリング企業」です。システムの企画・構築、アウトソーシングサービスの提供に加え、内外経済の調査分析・政策提言等の発信、経営戦略・行政改革等のコンサルティング活動、新たな事業の創出を行うインキュベーション活動など、多岐にわたる企業活動を展開しております。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社 日本総合研究所 総合研究部門
E-mail:rcdweb@ml.jri.co.jp
TEL:03-3288-4597(担当: 丸山、亀山、中山)

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