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中国における低炭素都市の建設

2010年02月09日 王婷


2009年12月コペンハーゲンで開催された国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、温家宝総理が2020年までにCO2排出量をGDPあたり2005年比40~45%削減すると公表しました。中国政府として、初めてのCO2削減の数値目標です。

近頃、中国国内ではグリーン経済、低炭素経済、循環経済などがヒットテーマとなり大いに議論されています。国家発展改革委員会は、吉林、珠海、寧波など6つの都市を低炭素都市のモデル都市に指定し、低炭素都市建設のコンセプト作りを開始しました。その内容は、低炭素産業、低炭素インフラなど都市運営においてのすべてが対象となります。

昨年11月中央政府工作会議では、農村の都市化を進めるとの政策が明確にされる一方、2011年よりスタートする12・5ヵ年計画においては、経済構造の調整、都市化が重要な政策課題です。中国は2050年までに都市化率を70%以上にするとの目標を掲げていますが、低炭素都市の建設は今後ますます重要になると思われます。

「低炭素都市」では、天津生態城が非常にいい例です。天津生態城は天津市内より45キロ、北京より150キロ、天津港や天津空港にも近い好立地です。地区の面積は34平方キロ、2020年に35万人の都市として完成する予定です。
そこでは環境共生・省資源・資源循環効率化のコンセプトの下、再生可能エネルギー利用率20%以上、グリーン建築比率100%など22項目の国際的に見ても最高レベルの目標を掲げる最先端の環境都市が計画されています。

環境都市というと、巨大な資金を投じ、先端的な技術を駆使するプロジェクトのイメージばかりが先行しがちですが、天津生態城では、「能実現(実現可能)」、「能複製(複製可能)」、「能推広(普及可能)」という目標を掲げています。ここを起点に継続的な環境都市の建設が進むことを期待した、全国的な都市整備モデルということができます。成功すれば、中国中に環境性の高い都市基盤が普及することになります。



※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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