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地方銀行における役員の役位・報酬制度に関する調査・考察(2023年版)

2024年04月17日 綾高徳


 株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、地方銀行(※1)における役員報酬制度に関して調査・考察した結果を公表します。

【調査概要】

□調査目的

・地方銀行における役員の役位・報酬制度に関する調査・考察を通じて、これから役員報酬制度を検討する際のベンチマークデータの1つとして活用する。


□対象企業とソース

・東京証券取引所に上場(東証プライム/スタンダード)している地方銀行67社(持株会社含む)を分析対象とした。なお、期中に持株会社へ移行したちゅうぎんフィナンシャルグループといよぎんホールディングスは分析対象から除いた。

・調査は有価証券報告書をソースとし、4【コーポレートガバナンスの状況等】(4)【役員の報酬等】から情報を抽出して整理した。有価証券報告書は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)を対象期間として提出されたものを用いた。


□対象企業
・対象企業の67社(持株会社含む)は以下の通りである。



----【要 旨】----


■役員の役位体系(業務執行取締役)

・コーポレートガバナンスの観点から、TOPIX500社の87.5%が取締役に序列をつけない役位体系に移行済みである。なおメガバンク3社を含む大手5銀行(以下メガバンク5社という)は100%移行済みである。地方銀行ではいまだ取締役に序列をつける役位体系を採用している会社が32/67社(47.8%)あり、ガバナンスの理解促進と制度変革が求められる。


■有価証券報告書における連結報酬の開示

・持株会社に関して、連結報酬であることを明示してその連結報酬額を開示している会社は8/22社であった。経常収益トップ4社(ふくおかFG、めぶきFG、コンコルディアFG、しずおかFG)がそろって連結報酬を開示している点は非常に評価できる。なおメガバンク5社はすべて連結報酬を開示している。

・持株会社の業務執行取締役が、傘下の銀行等の役員を兼務しているケースは少なくない。有価証券報告書ではステークホルダーに対して適切な情報を提供することが重要であり、連結報酬を開示することが適切であると考える。


■当期純利益に対する役員報酬総額の割合

・当業界において当期純利益に対する役員報酬総額の割合は、経常収益の規模と相関関係にある。自社の適切な役員報酬総額(総原資)を把握し、経年でその適正さを管理することが重要である。


■報酬項目間構成比率(報酬総額に占める各報酬額水準の割合:報酬ミックス)

・地方銀行における社内取締役の報酬項目間構成比率は単純平均値で①基本報酬73.8%、②賞与11.5%、③株式報酬(※2)14.3%、④退職慰労金他0.5%であった。


■賞与KPI- Key Performance Indicator -

・賞与KPIを有価証券報告書で開示している会社は46/67社。うち、1つのKPIで賞与を算定する会社(単一KPI)は36/46社、複数のKPIを用いて算定する会社(複合KPI)は10/46社。

・賞与算定に係るKPIの採用は多い順に①当期純利益42件、②業務純益6件、③ROE 3件、④経常利益2件、他各1件であった(延べ数)。


■株式報酬

・株式報酬型ストックオプション(新株予約権型)から、現物株を用いる譲渡制限付き株式報酬への移行がみられ、この動きは今後さらに拡大することが想定される。


※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

(※1) 第二地方銀行を含む。
(※2) 自社株取得目的報酬(同内容含む)は株式報酬に含めず、金銭報酬の項目としてカウントした。


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