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チームオレンジの整備促進に関する調査研究

2024年03月15日 紀伊信之高橋光進、岩附愛子、渡邉りさ子


*本事業は、令和4年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の背景・目的
 認知症になっても安心して暮らし続けられる地域づくりに向け、地域支援体制強化の具体的な方策の一つとして、チームオレンジを地域ごとに構築する取り組みが進んでいる。チームオレンジとは、「認知症と思われる初期の段階から、心理面・生活面の支援として、市町村がコーディネーターを配置し、地域において把握した認知症の方の悩みや家族の身近な生活支援ニーズ等と認知症サポーターを中心とした支援者をつなぐ仕組み 」である。
 本事業では、チームオレンジのより一層の整備促進に向けて、市町村の担当者等が、国の示す「チームオレンジの三つの基本(①ステップアップ講座修了および予定のサポーターでチームが組まれている、②認知症の人もチームの一員として参加している、③認知症の人と家族の困りごとを早期から継続して支援ができる)」の実践を含めて、具体的なイメージを持ってチームオレンジの整備を進めていけるよう、情報発信を行った。

2.事業の概要
 チームオレンジ等をすでに設置している市町村の活動の実態や工夫・課題等を把握することを目的に、市町村へのアンケート調査およびヒアリング調査を行った。それらの調査結果を基礎資料として、認知症の本人、家族、有識者および都道府県・市町村の認知症施策担当者から構成される検討委員会で議論を行い、成果物を作成した。

3.事業の成果
 本事業の成果物として、チームオレンジの整備を進めていく際の疑問・不安解消を考えるためのヒント・知恵を整理した「認知症になっても安心して暮らし続けられる地域づくりに向けて-本人を中心としたチームオレンジの整備-」を作成し、全都道府県、市町村に配布した。

4.今後の課題
 本調査研究で実施したヒアリング調査等を通じて、各地域の本人・家族のニーズや社会資源の状況に応じた多様なチームオレンジのあり方が明らかになった。また、チームオレンジの活動が、本人・家族の日々の生活の充実や安心感の醸成につながるとともに、認知症とともに 誰もが安心して暮らし続けられる地域づくりにつながっている事例も確認できた。一方、チームオレンジを設置している市町村でさえも、活動に参加していない、もしくはできていない本人が多く存在すると考えられる。今後は、チームオレンジの整備と並行して、チームオレンジの活動の成果等をより多くの本人・家族等に周知・還元する仕組みの検討が必要である 。
 また、チームオレンジの三つの基本については、市町村ごとに解釈の相違があることが明らかになった。例えば、「ステップアップ講座修了及び予定のサポーターでチームが組まれている」に関して、ステップアップ講座修了および予定の人以外は、チーム員として認めないといった限定的な解釈をしている市町村もあれば、本人、家族はステップアップ講座を受講しなくてもチーム員として認めている市町村もあった。本来、ステップアップ講座の受講については、チーム員となってからの受講やチームオレンジの考え方を伝える説明会等で代替することができ、各市町村、チームの状況に応じた柔軟な運用が可能である。チームオレンジの目的を踏まえたうえで、三つの基本の具体的な運用のあり方については、市町村に引き続き周知していくことが必要である。

【報告書】
【冊子】
認知症になっても安心して暮らし続けられる地域づくりに向けてー本人を中心としたチームオレンジの整備-

【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 高橋光進
E-mail:takahashi.mitsunobu.y3@jri.co.jp
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