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高齢者向け住まい等における適切なケアプラン作成に向けた調査研究

2024年03月13日 紀伊信之齊木乃里子、森下宏樹、大内亘


*本事業は、令和4年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の背景・目的
 住宅型有料老人ホームおよびサービス付き高齢者向け住宅(以下、「高齢者向け住まい」と言う。)は、入居定員の合計が50万人を超え、高齢者にとって、介護が必要になっても安心して自分らしく生活できる住まいとして重要な役割を担っている。こうした中、多くの事業者においては、利用者のニーズに沿った適切なケアプランが作成され、適切な運営が行われている一方で、入居者に対して過剰なサービスが提供されているとの問題等も一部ながら指摘されている。
 こうした背景を踏まえ、本事業では、すべての関係者が「利用者本位の暮らし」を理解し、これに向けた取り組みの実践に資することを目的として、高齢者向け住まいの主な関係者を対象とした、高齢者向け住まいにおける適切なケアプラン作成に関する 周知啓発や、高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検の実施状況・取り組み事例の把握等を行った。

2.事業の概要
 高齢者向け住まいにおける適切なケアプラン作成に関して、自治体・住まい運営事業者・ケアマネジャー等の理解促進のため、それぞれの対象ごとにセミナーや研修等を実施した。また、「高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検」の取り組み実態等を把握するため、自治体を対象にアンケート調査を実施した。点検に関して先行的に取り組んでいる一部の自治体に対しては、工夫や課題感に関するヒアリング調査を実施した。

3.事業の成果
 (1)自治体・事業者・ケアマネジャー等の理解促進のための啓発

それぞれ、自治体向けセミナーには345名、住まい運営事業者向けセミナーには411名の申し込みがあり、ケアマネジャー向けワークショップには計63名が参加(全国版:44名、地方版:19名)した。

 (2)高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検の状況把握

アンケート調査を通じて、高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検実施自治体の割合や点検対象・プランの抽出方法、フォローアップ状況、改善すべきとされたケアプランの傾向等に加え、点検を実施するにあたっての課題等を把握した。

 (3)自治体における取り組み事例の収集

計3自治体にヒアリングを実施し、取り組みの内容や、取り組みを通じて得られた示唆、今後の課題・展望等を把握した。


4.今後の課題
 本事業におけるケアマネジャーを対象とした啓発活動については、今後のさらなる展開に向けた検討の一助とするため試行的に実施したものであり、対象者数や回数、開催地域は限定的なものであった。内容面・運営面を今後改善しつつ、全国的かつ継続的に幅広く展開していくことが重要である。また、本テーマをめぐる課題の解決にあたっては、住まい運営事業者がケアマネジメントにおける自らの役割等を理解することが極めて重要となることから、引き続き、住まい運営事業者に対して、あるべき考え方等の普及・啓発に関する取り組みを進めていく必要がある。
 また、全国の自治体における点検の取り組み状況については、本年度のアンケートによって一定程度把握されたが、明らかになった具体的な課題については、その背景等をより詳細に分析・確認し、改善策の検討を進めていくこと、また好事例と考えられる取り組みについては、他自治体が参考にできるよう、より実践的な形で整理していくことが必要である。

※本調査研究事業の詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
報告書

【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 森下宏樹
E-mail:morishita.hiroki@jri.co.jp

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