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Business & Economic Review 2009年12月号

【REPORT】
BOP市場戦略にみる「新世代企業」考-新興国・低所得層市場戦略の成功と失敗から

2009年11月25日 日本総合研究所ヨーロッパ 研究員 槌屋詩野



要約

  1. 本論文では、昨今話題となりつつある「BOPビジネス」と呼ばれる活動について考察する。BOPビジネスとは世界人口の9割を占める年間所得3,000国際ドル以下の貧困層(BOP層:Base of the Pyramid)を対象とするビジネスを指すが、新興市場の富裕層だけを対象としたビジネスモデルを変え、貧困層にリーチし、共に価値を生み出すビジネスを目指す。
  2. 当初は短期的な収益力向上をめざした販売戦略の一環として、あるいは、新興市場の情報収集や
    ネットワークづくりのためのビジネスと考えられてきたが、その後、企業のCSR活動や技術の研究開発活動と組み合わせることで、様々な幅を持つビジネス領域を生み出してきた。本稿では多国籍企業のBOPビジネス活動の経緯を分析し、単なる一般的な市場戦略論を超えた、組織改革、人材改革、技術と製品サービスのイノベーションなどに狙いを定めた企業行動を明らかにする。
  3. BOPビジネスを持続可能で収益性の高いビジネスにするために必要な条件として、BOP層に対するより深い理解、そして「コミュニティ思考」の認識がある。長期的な視野でBOP層と付き合いを深め、先進国市場を対象としたビジネスモデルとは異なる思考回路で対応しなくてはならない。そうした新しい発想を持つことができる企業こそが次世代に対応する企業として世界市場のなかで生き残っていくと考えられる。
  4. こうした問題意識を中心として、欧米を中心とした地域の多国籍企業が新興市場における活動を活発化しているのに対し、日本企業がBOPビジネスへの参入が遅れている現状に関しても考察する。日本企業が弱みとする要素について、いかに補完すべきかを明らかにし、そして、日本政府がこうした流れに対して、今後どのような政策的支援をとるべきかを示す。

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