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第8回 脱構築というイノベーション その5 組織改革の着眼点【大林 正幸】 (2009/01/08)

2009年01月08日 大林正幸


1.組織改革の着眼点

 これまで、数回に渡って解説してきた通り、脱構築は自ら変わる意志のある変化である。このためには、日常的な活動の仕組みの中に、自ら変えていく行為をビルトインしておかなければならない。これは、一気に変革を進めるというよりも、中・長期的視野の中で、経営システムを変質させていくための取り組みである。

 そのためには、以下のフレームで取り組みを検討することになるだろう。

a.組織構造をシステムとして、以下の4つの領域で、相互関連を矛盾無く理解する。
b.評価の目線は、行為の能力レベルであり、具体的行為として、環境変化に対する統制能力をみる。
c.部門間、組織間の関係性をみる。関係性の変化と維持が適切に行われているかを検討する。
d.会社活動を束ねる価値観は、意思決定や行動の規範として妥当か、また、浸透しているかをみる。
e.目標の達成度を測定できているかをみる。

組織改革のフレーム



2.組織構造の自己チェック

 日常的活動の質的変化を進めるには、組織構造改革のビジョンと戦略が不可欠である。組織構造改革や戦略は、耳あたりの良い言葉であるが、何をもって組織構造であるのかを説明することは難しい。経営学者、コンサルタントに限らず、各自が自由に組織現象を評論することは可能である。しかし、以下の二つの質問に答えることができなければ、それは感想文にしか過ぎないだろう。

(1) あなたは、貴社の組織構造をどのようなフレームで説明できるか。

・貴社の組織文化や価値観を組織現象として説明できるか。
・貴社の子会社を含めて、各部門相互間の関係性を説明できるか。それはどのような視点で説明できるのか。
・組織が保有しているであろう行動力または活動資源として、貴社を説明できるか。
・組織目標はどのように表現できるか。組織目標と事業の戦略目標との関係を説明できるか。

(2) 貴社の日常的モニタリングのシステムを説明できるか。

・既存の重要な日常的モニタリングシステムに相当するものをすべて挙げられるか。
・モニタリングシステムによるモニタリング結果の活用状況を説明できるか。
・フィードバックループはあるのか。あるならば、それは具体的に何をさすのか。

 つまり、これらの質問に答えることから、組織構造改革が開始される。
 この質問に答えることは、一過性の現状分析というよりも、自己点検として日常活動で参照するべきチェック項目である。
 あなたは、先の質問に答えた内容が妥当かどうかに悩むことになる。妥当かどうかについての評価基準が戦略でなければならない。すなわち、組織構造の編集の軸としての役割を戦略は担うのである。
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