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コラム「研究員のココロ」

営業部門のサイズは適正か?

2005年08月29日 太田康尚


1.営業部門の人数と特性

 最近、経営者などから当社の営業(部門)の人数は適正なのかという疑問の声を聞くことが何回かあった。もしかしたら、人員を大幅に減らしても売上はそう変わらないかもしれない、逆にもっと増員したら売上も大幅に伸びるのではないか、という疑問である。この疑問の裏には、営業活動の質や量など、効率性が見え難いという営業部門によくある特有の問題が潜んでいる。
 営業活動の実態が見え難いので、現状が良いのか悪いのか判断がつき難いのである。仮に現状、問題があると思ったとしても、根拠が曖昧で、人数を変えるという判断がし難い。結果、試行錯誤しながら過去の延長線上で人数の微調整をしているだけの企業が多い。
 本当にそれで良いのだろうか。顧客や競合など市場環境は変化していく。市場との接点である営業部門は、変化に敏感に対応していかなければならないはずである。また、生産部門などはかなり力を入れて生産性向上を追求しているが、営業部門の生産性については意識が低い企業が多い。営業の人件費を改めて眺めてほしい、業種によりそのウェイトは異なるものの、その費用は決して軽視できるものではないはずだ。


2.営業活動の可視化

 「営業部門のサイズは適正か?」という議論をするためには、営業活動の実態を把握して効率性などを評価する必要がある。もし、営業活動内容が不透明であるならばそれを透明にしなければならない。
 最近では、営業活動の不透明性にメスを入れる企業が増えてきている。営業活動の結果である販売実績データだけでは、活動の内容や質は見えてこないことが多い。営業活動の内容や質をより定量的に把握しようとする取組みが進められている。
 その取組みとは、営業担当者の活動内容を顧客別に営業プロセスを記録していく方法の導入であり、一般にその方法は、営業プロセス管理と呼ばれることが多い。このことにより、どの顧客にどの程度活動をしているか、また、どのような営業プロセスをどの程度実施しているかが客観的に把握し易くなるのである。従来の日報などとの相違点は、営業活動実績を定量化して、分析を容易にしている点である。
 この取組みから得られる活動内容データと販売実績データを、他の人や他の地域、過去などと比較することなどにより、多くのことが見えてくるのである。
 営業活動の可視化による、ルートセールス型営業でのよくある有益な発見が、営業担当者の担当企業(担当エリア)の実質的なカバー率である。ある営業担当者は、ある程度実績もあがっており、自身の活動を問題視していなかったが、蓋を開けてみたら、担当得意先の内、重要でない特定の得意先への活動が多く、攻めるべき重要な得意先への活動量が低かったというものである。
 要するに、本来攻めるべきだがシェアが低く相手にされ難い顧客へは訪問せずに、規模が小さく相手にしてくれる顧客へは頻繁に訪問するという、最悪の活動パターンである。しかし、営業せずとも昔からの継続的な取引で実績が上がっている顧客を持っているために、問題が見えてこなかったのである。
 この様な場合、この担当者をはずしたとしても、売上への影響がほとんどないケースがある。それは、営業担当者が昔からのストック分の売上に頼っていおり、本来注力すべきフロー分の売上には貢献していないからである。
 このような気付きを得るためには、個別の活動を見ていても難しいことがある。このような「木を見て森を見ず」という状況を避けるためには、営業活動を一歩引いて全体を眺めることも必要なのである。


3.営業人数の適正化

 営業の活動実態が把握できて始めて、適正人数を考えることができる。つまり、顧客のカバー率の実態を把握して、営業担当者の生産性を相対的に評価することなどが前提となるのである。
 そして初めて、「平均的な営業担当者がいったい何人いれば現状を維持できるのか」、「どれくらい減らしても影響がないのか」、「売上を拡大するためにはどの程度増員すべき」などの検討ができるのである。
 販売実績だけを見ていても、なかなか営業の適正人数は見えてこない。ある程度的確な判断ができるデータを集める仕組みを構築する必要がある。
 営業部門の適正人数は最初から最適な答えが出るのではない。評価のものさしを設けて最適な人数に近づく仕組みを作ることが必要なのである。


4.おわりに

 一度、営業部門のサイズが適正かどうかを検討してみることを提案したい。問題があり、放置した場合のデメリットを考えれば、確認するための労力は問題とならないはずである。そしてもし、営業活動の実態すら把握できないような状態にあるならば、まずはその問題を解決するための取組をすべきである。
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