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Business & Economic Review 2007年02月号

【REPORT】
活発化するわが国の人口移動

2007年01月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 2000年以降、わが国では、国内の地域間および他国との間で、人口移動が活発化している。具体的には、a.地方から大都市圏への移動、b.外国人の増加、c.日本人の海外流出、という三つのルートが指摘できる。そこで本レポートでは、人口移動が活発化してきた背景を分析した。

  2. まず、地方から大都市圏への移動では、東京、神奈川、愛知への集中が目立っている。年齢別にみると、20歳代後半から60歳代の移動が加速していることが特徴である。これは、企業部門が集積して就業機会に恵まれた大都市圏へ向けて、労働力の移動が起きたことが背景になっている。

  3. 次に、外国人の増加では、中国人が最大の寄与となっている。中国人は、年齢別には20歳代が6割を占め、特定の地域に偏在せず全国にわたって増加している。また、「留学・就学」「研修」目的が増加していることも最近の傾向である。

  4. 日本人の海外流出では、女性よりも男性が多く、年齢層も従来の20歳代中心から30歳代にまで広がってきたことが特徴である。地域別では、アジア向けの民間企業関係者の伸びが顕著である。わが国企業の海外事業展開の拡大に伴い、現地での日本人スタッフ需要が拡大していることが背景になっているとみられる。

  5. このような人口移動の活発化は、人材配分の効率化を進めることによって、わが国全体の生産性を向上させていることを示すものといえる。今後、人口減少社会のもとで人的資源の制約が強まるなか、わが国が競争力を高めていくためには、こうした動きを一層促進して、国全体の生産性を引き上げていくことが重要になる。
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