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リサーチ・アイ No.2020-052

米国ハイイールド債市場の現状と潜在的リスク

2020年12月04日 野村拓也


米国のハイイールド(HY)債の発行額は、コロナ禍の経済への影響が本格化した本年4~6月期に倍増し、その後も高水準で推移している。また、HY債の市場金利は春先に一時急騰後、足元では近年の最低水準まで低下している。

発行額が増加しながらも金利水準が低下している背景には、①FRBの利下げを受けて投資家のイールド選好が高まり、相対的に利回りが高いHY債の需要が増加したこと、②本年3月にFRBが導入した社債購入プログラム(注)の買取対象にHY債の一部が含まれた結果、マーケットに安心感が広がったこと、③企業業績の悪化を受けて銀行がレバレッジドローンの貸出基準を厳格化したため、企業の資金調達の一部がHY債にシフトしていること、等が指摘されている。
(注)特別目的会社を通じて社債購入。3月22日時点で投資適格級であれば、現在HY級(BB-/Ba3まで)でも買取可。

もっとも、FRBの社債購入プログラムによる買取実績をみると、HY債の買取額はその残高や発行額と比較して極めて限定的であり、発行されたHY債の大半は、投資信託や年金基金等の機関投資家が保有していると考えられる。

こうしたなか、HY債のデフォルト率は、近年の最高水準に達しているほか、デフォルト後の弁済率も、過去20年間の最低水準にとどまっている。コロナ禍の収束が遅れて景気が低迷すれば、企業業績の悪化からHY債の信用力が一段と劣化し、広範な投資家に悪影響を及ぼしかねない。当面、HY債市場の動向を注視する必要があろう。


米国ハイイールド債市場の現状と潜在的リスク(PDF:422KB)
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