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リサーチ・アイ No.2020-023

米国では迅速な政策対応が企業の資金繰り破綻を回避 ― ただし、今後はデレバレッジの動きが設備投資などの重石に ―

2020年06月10日 井上肇


米国では、3月後半以降、金融機関の企業向け貸出が急増。景気見通しの悪化を映じて、4月調査時点で企業向け貸出態度は厳格化したものの、その後も貸出は増加。同調査によれば、金融機関は新規顧客よりも既存顧客を優先して資金繰り支援に努めた模様。

加えて、政府保証付きで市中の金融機関から借入ができる「給与保護プログラム(PPP)」が中小企業の資金調達を下支え。米商工会議所のアンケート調査によれば、3月下旬の調査時点の厳しい経営環境が続けば、中小企業の2割強が2ヵ月以内に倒産に至ると認識。その後、4月3日に開始されたPPPの6月上旬までの利用率は8割程度に達していると試算され、多くの中小企業が恩恵を受けたことを示唆。

さらに、FRBの資産購入や信用供与策も直接・間接的に大企業から中小企業までの資金繰りを支援。その一例として、社債市場では3月に投資不適格企業の資金調達が急減したものの、4月以降は回復。

こうした迅速な政策対応により、多くの企業がロックダウン期間中の資金繰り破綻を回避。もっとも今後は、雇用維持などを条件に返済が減免されるPPPを除き、債務返済の局面へ。新型コロナ流行前の時点で企業債務が高水準であったことも相まって、当面はデレバレッジの動きが設備投資などの重石に。


米国では迅速な政策対応が企業の資金繰り破綻を回避 ― ただし、今後はデレバレッジの動きが設備投資などの重石に ―(PDF:270KB)

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