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2007年04月19日

急がれるわが国労働市場改革 ~フレキシキュリティ政策への転換を~

要旨
(イ)  わが国雇用情勢の改善は依然として限定的。フリーターの減少には少子化による人口減少が作用。失業率は90年代前半の水準を大きく上回る。年収動向をみると、高所得層が減少する一方、低所得層が増加する傾向に歯止めが掛からない。それらは途上国経済の飛躍的成長に伴うグローバル競争の激化という構造変化に起因。そうであれば、非正規雇用の拡大や低所得層の増大は今後も中期的に続く回避困難な動きとみるべきか。一方、政府は本年4月成長戦略の一環として労働市場改革を提唱。多様な働き方の実現を通じて就業率を引き上げ、成長力の強化を展望。しかし構造変化が進行するもと、果たして実現可能か。そうした観点から本稿では、わが国より先行して労働市場改革に着手した先進各国に目を向け、見習うべきポイントを整理してみた。
(ロ)  近年、EUではフレキシキュリティが注目(FlexibilityとSecurityを繋いだ造語)。労働市場の柔軟性と雇用の確保という矛盾しがちな政策課題の両立が目標。すなわち、有能な人材の育成を梃子にイノベーションの活性化や経済の高度化を推し進める一方、労働市場の流動化によって成長産業への雇用シフトを進め、力強い成長を目指す政策。デンマークの成功が、エンプロイヤビリティ政策からの転換を後押し。
(ハ)  デンマークでは、94年の労働政策改革の後、今日まで趨勢的に雇用情勢が改善。先進各国中、失業率はノルウェーに次いで低く、就業率は最高。加えて、所得水準も上昇。所得階層別にみると、わが国と正反対に、低所得者層が減る一方、高所得者層が増加。各国中屈指の転職率の高さや勤続年数の短さなど労働市場は柔軟性に富む。人材育成面では、社会人への職業教育・訓練プログラムが幅広く設置。参加度合いを人口比率でみるとスウェーデンやアメリカと並び最多国のひとつ。近年、職業教育・訓練、とりわけ、専門職種のプログラムを選好する動きが拡大。
(ニ)  各国の取り組みに即してみると、わが国労働市場の現行スキームが維持される限り、安倍政権が目指す就業率の引き上げを通じた成長力強化、上げ潮戦略は失敗のリスク大。抜本的な労働市場改革を通じたフレキシキュリティ政策への転換が焦眉の急。もっとも、単純なデンマーク型スキームの直輸入は失敗の懸念大。とりわけ重要な改革成功のポイントは次の3点。

1.小さな政府路線の堅持
……デンマーク政府の雇用・教育支出は各国中最大。しかし、アメリカでは小さな雇用・教育支出のもと、雇用・所得情勢の改善に成功。アメリカ型は有力な選択肢。
2.職業教育・訓練の強化
……わが国の社会人向け職業教育・訓練プログラムは諸外国に比べてきわめて低調。人材の組織内育成が強みとなる分野もある一方、それだけでは競争力の維持・強化に不十分。
3.企業負担の軽減
……わが国はフランスやイタリアと並び最も流動性の低い国のひとつ。解雇制度の見直しに加え、就業者の能力開発を企業に委ねる傾向も要再考。
レポート目次
   
  1. 限定的なわが国雇用情勢の改善

  2. 先進各国の取り組み
    (1)EU
    (2)デンマークの現状と特徴
    (ⅰ)雇用・所得情勢の現状
    (ⅱ)政策的特徴

  3. 今後の課題
    (1)小さな政府路線の堅持
    (2)職業教育・訓練の強化
    (3)企業負担の軽減
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