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日本の都市開発の多くの事例を、これからの都市開発へ!

2019年02月26日 井熊均


 ここのところ、雄安新区や天津生態城を始めとする中国のスマートシティ、オーストラリアでのシドニー新空港の建設に伴うシドニー西部開発、タイの高速鉄道建設に伴うバンコク東南部開発、等、次世代に向けた都市開発のプロジェクトに関わることが多くなっています。今世界中で多くの次世代向け新都市が開発されています。当然のことながら、省エネルギー、再生可能エネルギー、あるいは新交通システムなどが導入されるので、これらの都市はスマートシティとして建設されることになります。

 日本で海外ほどの規模の新都市が建設されている訳ではないのですが、海外都市開発の関係者は日本の都市開発の実績から学ぼうとします。その対象となるのが、東京の臨海副都心、幕張新都心、横浜のMM21、六本木ヒルズ、ミッドタウン、丸の内などの都市開発です。いずれも地域を代表する都市集積です。

 これらを含む多くの都市が建設、あるいは計画されたのは1980年代後半からの、所謂土地バブルの時代です。1990年前後のバブル経済は日本経済に巨額の負債をもたらし、日本衰退の元凶とされていますが、都市開発の面では日本の都市、特に東京圏の価値を高めるのに貢献した面があります。未来に向けた壮大な夢が語られ、巨額の資金が投じられ、様々な先進的なアイデアや技術が投入され都市の質は大いに高まりました。

 しかし、バブル経済崩壊後の負債処理に伴い都市開発に関わった多くの組織がリストラの対象となりました。つまり、海外の人が感心する都市開発の事例をたくさん持ちながら、そこで得た経験を語れる人が少なくなっているのが今の日本の状況なのです。以前も述べましたが、膨大な情報と技術が投入される都市は、これから先進ビジネスが生まれる場となります。そこで日本が成果を上げるためには技術力だけでは十分ではありません。バブルの高揚と破綻、その後の経済的回復の中で得た広い意味での都市開発の知見を、国としていかに語り得るかが問われているのです。

※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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