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Business & Economic Review 2012年5月号

【特集 アジア経済の現状と新たなビジネス展開】
家計債務を背景に消費の冷え込みが懸念される韓国

2012年04月25日 向山英彦


要約

  1. 韓国では内外需の減速が続いている。世界経済の減速に伴う輸出の減速はこれまで何度も経験しており、今回もある意味で予想された展開である。むしろ現在懸念されているのは、2011年秋口以降減速傾向を強めている民間消費の冷え込みである。


  2. 消費の減速傾向が強まっているのは、①インフレと景気減速による実質国内総所得(GDI)の伸び悩み、②債務の返済負担の増加、③家計向け信用抑制策の影響などが重なったことによる。所得環境の悪化以外に、家計債務問題が影響を及ぼしている。


  3. 家計債務が膨らんだ背景には、住宅価格の上昇に支えられた住宅ローンの拡大がある。韓国の住宅ローンは短期変動金利型で満期一括返済タイプが多いため、①住宅価格の下落、②所得の減少、③金利の上昇などが重なる局面では、債務不履行率が高まりやすい。そうなれば銀行の不良債権が増加し、金融システムの安定性を損なうことになりかねない。


  4. さらに最近では、住宅ローン以外の借入れが増加している。家計債務が深刻化したことを受けて、政府はその抑制に本腰を入れ始めた。2011年半ば以降「家計債務総合対策」が実施されているが、ノンバンクの融資が高い伸びを続けているため家計債務は抑制されていない。このため、2012年2月、ノンバンクの融資を抑制する措置を打ち出した。


  5. 「家計債務総合対策」につぐノンバンクに対する融資抑制措置の導入は消費にマイナスの影響を及ぼす恐れがある。政府には家計債務問題のソフトランディングを図りながら、景気の落ち込みを最小限度に食い止めることが求められる。また債務返済負担の軽減には所得の増加が欠かせないため、それに結び付く経済成長を実現させることが今後の課題である。
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