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新成長戦略に必要なビジョン

2015年09月29日 井熊均


 自民党総裁再選を受け、安倍首相はGDP600兆円にするとの目標を掲げました。3年前の総裁就任以来、日本経済が再生に向け歩み始めたことは間違いありません。しかし、国内外の経済状況を見れば、日本経済はいまだ再生なるか否かの剣ヶ峰にあります。アベノミクスの第三の矢である成長戦略の一層の加速が望まれるところです。
 成長戦略と言うと、規制緩和に焦点が当たることが多いのですが、規制緩和だけでは日本経済を加速するには十分でありません。日本経済が本格的に加速するために不可欠なのは、骨太の新産業、それも日本経済の中核である製造業を底上げする革新技術を活かした新産業です。

 実は、今、世界的に大きな技術革新のトレンドが起こりつつあります。このたび、『なぜ、トヨタは700万円で「ミライ」を売ることができたか?』という書籍を刊行しました。エネルギー分野で、燃料電池は夢の発電装置として長らく期待され、小泉政権時代には燃料電池自動車が紹介されました。しかし、その価格は一億円を超えると言われ、燃料電池は何時まで経っても「夢の発電装置」であるように思われていました。
 その燃料電池自動車が10年を経ずして20分の1の価格で商品化されたのです。背景には、IoT、Industrial Internet、Industry 4.0 ともつながる技術革新の巨大なトレンドがあります。それを捉えたトヨタの卓越した技術力や企業力には驚嘆します。同時に、日本に歴史的な技術革新のトレンドを先取りする力があることを心強く思います。
 数百兆円の規模を持ち、1,000兆円を超える負債を抱える日本経済を本格的に再生の波に乗せるためには大きなうねりが必要です。新政権の政策では、そのための目線の高いビジョンが掲げられることを望みます。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


■最新の書籍
『なぜ、トヨタは700万円で「ミライ」を売ることができたか?』
井熊 均・木通 秀樹(共著)/日刊工業新聞社/2015年9月28日発行
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