要旨 |
1. |
関西経済は、2004年半ば頃から「上向きの力」と「下向きの力」がせめぎ合う「踊り場的状況」となっていたが、最近では「踊り場的状況」脱却の道筋が開けてきた。 |
2. |
関西の輸出は、米国向けが堅調に推移し、中国向けも持ち直してきたほか、産油国の中東やロシア向けも高い伸びとなっている。このため、実質ベースで見た関西の輸出は、2005年7~9月にほぼ下げ止まった。 |
3. |
関西の生産関連指標は、在庫が積み上がり気味になりながらも、景気後退期特有の本格的な在庫積み上がりと生産調整に陥る手前で踏みとどまる微妙な動きが続いていたが、最近では電子部品・デバイスの在庫調整進展や出荷の回復など明るい動きが出てきている。 |
4. |
関西の設備投資は、景気が「踊り場的状況」となった局面においては、投資計画が実現せずに終わる動きも生じたが、先行きの「踊り場的状況」脱却が展望されてくるにつれて投資計画上積みの動きが強まっている。 |
5. |
関西では、景気拡大の波及によって、雇用者数や1人あたり賃金が前年比プラスに変わりつつある。このため個人消費も回復の方向にある。 |
6. |
今回の関西の景気拡大は、持続期間が比較的長い拡大期の一つになりつつある。過去において景気の転機をもたらした海外経済の失速、増税などの政策ショック、バブル崩壊などの状況と今回を比較すると、予想されるマイナス要因は規模が小さい。 |
7. |
関西経済は2006年度も景気拡大が持続し、実質経済成長率は2.0%とみられる。経済成長の姿は、景気拡大の初年度であった2002年度にはまだ外需中心であったが、景気拡大が5年目に入る2006年度には、設備投資の増加に加えて、個人消費も回復し、内需主導の傾向が強まるとみられる。 |