(1) |
2006年度にかけてのわが国景気は、国内民需を中心とした底堅い動きが予想される。
イ) |
設備投資は、①各種構造調整が終了し、企業各社が相次いで「攻め」の経営姿勢に転じていること、②原油高の状況下でも増益基調が続き、マネーストックの潤沢な状態が続いていることなどから、拡大傾向が持続。 |
ロ) |
個人消費は、①雇用・賃金環境の改善、②株価など資産価格の持ち直しが続くもとで、幅広い層が支出を増やす形で、プラス基調を持続。 | |
(2) |
ただし、以下の要因が景気回復ペースを抑制するため、加速感が強まりにくい展開に。
イ) |
個人消費が大きく下振れる可能性は低いものの、定率減税の半減・全廃をはじめとする各種家計負担の増加を踏まえると、回復パターンに振れが生じることは不可避。 |
ロ) |
企業の増益基調は維持できるとみられるものの、人件費など固定費の削減による収益押し上げ効果が逓減していくもとで、原油価格の高止まりに伴う収益圧迫影響が、海外との競争激化などにより販売価格引き上げが困難な分野を中心に、徐々に表面化していく懸念。 |
ハ) |
新興国・資源国向けを中心に、輸出の拡大傾向は続く可能性が高いものの、米国景気が2006年後半にかけ減速していくにつれ、増勢は鈍化する見通し。加えて、新興国向け輸出と連動する形で輸入の増勢も強まることから、「純輸出」の成長寄与度は小幅に。 |
ニ) |
設備投資の増勢も、大型案件の一巡により、2006年度は05年度からやや鈍化する見込み。 | |
(3) |
以上の結果、実質成長率は、2005年度に+2.8%と2000年度以来の強めの伸びに。2006年度は、下期にかけやや減速感が生じるものの、年度全体では+2.1%に。 |
(4) |
なお、上記メインシナリオに対する主なリスクファクターは、①汎用素材分野における在庫調整の後ズレ・深刻化、②米国景気の失速、③原油をはじめとした資源価格の一段の上昇、の3点。 |
(**) |
なお、予測の詳細については、「2006~15年度経済の展望:人口動態から10年後の日本経済を読む~改訂版~」(12月7日公表のレポートを今回のQEの内容を織り込む形でアップデート。近日中に当社ホームページにて公表予定)をあわせて参照されたい。 |