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2005年11月15日

2005~06年度改訂見通し(7~9月期1次QE公表後)

7~9月期は年率+1.7%成長
(1) 7~9月期のわが国実質GDPは、前期比+0.4%(年率換算+1.7%)。
 ①個人消費、設備投資が年前半の強めの伸びから鈍化したこと、②輸入の急増を主因に、プラス幅が1~3月期の+1.5%(年率+6.3%)、4~6月期の+0.8%(年率+3.3%)から鈍化。
 しかし、①個人消費、設備投資は、各機関の事前予想でマイナス転化の可能性も指摘されていたなかで、いずれもプラスを確保したこと、②輸出の2期連続2ケタ増、③住宅投資のプラス転化、④全体の前年同期比が+3.0%に達したこと、⑤原油高の逆風下で名目成長率もプラスを確保したことなど、内容的にはわが国景気の底堅さが増していることを示す材料が多くみられた。
(2) 主要需要項目の動きは以下の通り。
  イ)個人消費(実質:前期比+0.3%、年率換算+1.4%)
 年前半にみられた大幅な増勢が鈍化。①雇用不安・所得不安が和らぐなかで顕在化していたペントアップ需要が一巡したこと(とりわけ自動車)、②厳しい残暑や台風の影響から秋物商品の動きが鈍かったことなどが背景。
 もっとも、雇用者報酬の拡大が続き、株価の持ち直しもみられるなかで、①価格下落が続く薄型テレビ、パソコン、②愛知万博などのレジャー関連、③証券取引手数料などへの支出が拡大したことから、事前に懸念されたマイナス転化は回避(3期連続の前期比プラス)。個人消費の底堅さが増していることを示す結果に。
  ロ)住宅投資(実質:前期比+1.5%、年率換算+6.3%)
 3期ぶりの前期比プラス。一戸建ての減少傾向が続いているものの、投資マネーの不動産市場への流入が拡大するなか、都市部を中心にマンションやアパートを建設する動きが活発化しており、全体を大きく押し上げ。
  ハ)設備投資(実質:前期比+0.7%、年率換算+3.0%)
 6期連続の前期比プラスとなったものの、増勢は年前半の年率2ケタ増から一服。①都心部における再開発案件のピークアウト、②製造業(とりわけ電気機械)による工場建設の端境期入り、を背景とした建設投資のスローダウンが主因とみられる。
 もっとも、①全体の約7割を占める機械投資の拡大基調が続いていること(機械受注・除船電民需は本年10~12月期にかけ5期連続の前期比プラスとなる見込み)、②地域再開発の動きが近郊に広がってきていることなどを踏まえれば、今回の大幅な増勢鈍化は一時的と考えられる。製造業による工場建設の動きについても、国内生産の高付加価値化・開発力強化に向けた経営計画の策定が各社で広がってきていることを勘案すれば、このまま減少トレンドに転じるとは見込み難い。
  ニ)公共投資(実質:前期比+1.0%、年率換算+4.1%)
 減少基調が続いているものの、①北陸地方での災害復旧事業、②旧道路公団による大型案件(第二東名高速関連、ETC料金収受機設置、首都高速のトンネル建設)、③病院・刑務所・庁舎の改修事業、などが集中的に進捗ベースに乗り、減少ペースが一時的に緩んだ。前期比ではプラスに。
  ホ)純輸出 (実質前期比寄与度:▲0.0%ポイント、年率寄与度:▲0.2%ポイント)
 輸出は、2期連続の年率2ケタ増(前期比+2.7%、年率換算+11.4%)。全体の2割強を占める米国向けの増勢が自動車を中心に鈍化したものの、4~6月期にかけて弱含んだ中国向けが幅広い品目にわたり急回復。商品市況の高騰で潤う資源国向けの拡大が続いていることも、輸出全体の回復に寄与。

 輸入は、95年10~12月期以来の大幅な伸び(前期比+3.9%、年率換算+16.7%)。航空機の輸入が押し上げた側面もあるが、基本的には、①国内需要の回復、②国際分業体制の本格稼動を背景とした増加傾向が持続。航空機以外では、パソコンの輸入増が顕著。

 輸出・輸入ともに大幅な増加となるなか、相対的には輸入の伸びが上回った結果、純輸出の成長率寄与度はわずかながらマイナスに。
底堅いものの、加速感は生じず
(1) 先行きを展望しても、わが国景気は当面、国内民需を中心とした底堅い推移が見込まれる。
  イ)設備投資は、①企業部門の「3つの過剰」(人件費・設備・債務)、IT分野の在庫調整、といった長期・短期のマイナス要因がともに解消されたほか、②原油高の状況下でも増益基調が続き(*)、マネーストックも引き続き潤沢なことなどから、再び増勢を強める公算。

ロ)個人消費は、①雇用環境の改善、②株価など資産価格の持ち直しが続いていることに加え、③今冬賞与の大幅増が見込まれる(**)ことから、早晩息を吹き返す可能性が高い。

(*)原油高の影響はこれまでのところ、①高騰の背景の一つである新興国の高成長に伴うわが国輸出の増加、②産油国の好況によるプラス効果(輸出増、株式市場へのオイルマネー流入など)、③各種合理化(とりわけ人件費削減)の効果により、相当程度減殺できている。

(**)日本経団連の調べによると、今冬の賞与は前年比+5.08%(10月26日時点の中間集計、大手企業)と、2004年度中の大幅増益の「余熱効果」に伴う大幅増が見込まれる。
(2) もっとも、2006年度後半にかけ回復ペースが加速していく展開は見通し難い。
  イ)個人消費が大きく下振れる可能性は低いものの、①ボ-ナス主導型の賃金回復の持続性に脆さが残っていること、②各種家計負担の増加(***)を踏まえると、回復パターンに振れが生じるのは避けられず。

ロ)企業の増益基調は維持できるとみられるものの、人件費など固定費の削減による収益押し上げ効果が逓減していくもとで、原油価格の高止まりに伴う収益圧迫影響が、①製品高付加価値化の遅れ、②海外との競争激化により、販売価格の引き上げが依然として困難な業種を中心に、徐々に表面化していく懸念。

ハ)新興国・資源国向けを中心に、輸出の拡大傾向は続く可能性が高いものの、米国景気が2006年後半にかけ減速していくにつれ、増勢は鈍化する見通し。加えて、国際分業体制が本格稼動するもとで、新興国向け輸出と連動する形で輸入の増勢も強まっていることから、「純輸出」の成長寄与度は小幅にとどまる公算。

(***)所得税・住民税の定率減税が2006年1月に半減、07年1月に全廃される場合の個人消費下押し影響は、05年度▲0.1%、06年度▲0.5%と試算。
(3) 以上の結果、2005年度の実質成長率は+2.7%と、1996年度以来の強めの伸びになる公算。2006年度は、下期にかけやや減速感が生じるものの、年度全体でみれば+2%に。
  わが国経済成長率見通し
  (資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 予測に際しては、以下の3点を前提としている。
①米国景気は2005年末にかけ原油高・ハリケーン被害の影響を主因に軽度の調整(2005暦年実質成長率:+3.6%)。2006年入り後、復興需要の盛り上がりに伴い一旦持ち直すものの、春以降は利上げ効果の浸透などを背景に小幅減速へ。
②定率減税は2006年1月に半減、2007年1月に全廃。
③原油輸入価格(入着CIFベース、1バレルあたり)は、2005年度平均53ドル、2006年度平均55ドル。
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