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2005年09月20日

構造改革で国民負担の軽減を

   要旨
(イ) 総選挙で国民は構造改革のさらなる推進に絶大な支持を付与。様々な改革メニューのなかで最大の課題は小さくて効率的な政 府の実現。もっとも、少なくとも現時点において、年金や医療など、社会保障サービスの削減まで踏み込んだ改革は容認されず、むしろ、セーフティーネットを 確保しつつ、それ以外の分野について効率化を最大限進めるべきとの考え方が一般。しかし、そうしたグランド・デザインは実現可能か。本稿では、主要先進各 国の近年の動向を整理することで、グランド・デザインの実現可能性をチェックした。

(ロ) 対象国はわが国と米英独仏の主要先進5カ国に、スウェーデンとフィンランドの北欧2カ国を加えた7カ国とし、2001年と2004年の失業率、および2000~2001年と2002~2003年の国民負担率(GDPベース)を対比。
米英……国民負担率、失業率ともに低水準に位置。イギリスの失業率は先進主要各国中、わが国と並んで最低水準。一方、アメリカの国民負担率の低下幅が際立って大きいのは、経済成長に伴う名目GDPの増加に加え、ブッシュ政権下の所得減税の結果。
独仏……国民負担率は40~45%で米英よりも高いものの北欧2カ国より低く、両者の中間に位置するなか、失業率は高く雇用情勢はきわめて深刻。
北欧2カ国……フィンランドは国民負担率、失業率とも独仏同様高水準。一方、スウェーデンでは、2004年の失業率が6.4%に悪化。さらに、a)政府雇用の増大、b)若年者雇用促進政策による失業減効果を勘案すると、実質的失業率は10%水準。

(ハ) 独仏および北欧2カ国の失業悪化、経済停滞の根因は内外資本の流出に伴う国内産業の空洞化問題。従来、経済成長力と国民 負担の多寡には弱い相関性が認められるのにとどまり、必ずしも連動しないという見方が支配的。しかし、2000年以降の動きに即してみれば、すでにそうし た認識は現実と相違。国民負担の多寡からみる限り、実体経済の良否の分岐点は国民負担率4割周辺に。さらに、企業の税負担軽減など、各国の制度間競争がエ スカレートすれば、今後、その分岐点が一層低くなる可能性も。

(ニ) 翻ってわが国をみると、まず2002年の国民負担率がGDP比26.2%にとどまるなか、失業率は4%台半ばまで低下。 一見する限り、現状大きな問題なし。しかし、2004年5月の厚生労働省「社会保障の給付の負担の見通し」などに依拠し、a)財政赤字による潜在的国民負 担(GDP比7.9ポイント)、b)少子高齢化の進展に伴う社会保障コストの増嵩(2025年度まで同5.1ポイント増)を加味すると、2025年度の国 民負担率は39.1%とほぼ4割に上昇。さらに、わが国を上回る西欧主要各国の社会保障関連コストを踏まえてみれば、今後、わが国の同コストが想定を上 回って増加する懸念も。

(ホ) 以上を要すれば、わが国が、深刻な経済停滞に陥る国民負担率4割の吃水線に早晩到達するリスク大。加えて、国際規模での 制度間競争のさらなる激化が見込まれるなか、国民負担率4割の分岐点が今後一段と低くなる可能性も視野に入れておくべき。このようにみると、小さくて効率 的な政府を目指す構造改革が必須であることに議論の余地なし。むしろ問題は、①年金や医療など、社会保障サービスさえ要否や削減余地を議論せざるを得なく なった当今の情勢変化を明確に開示して国民の納得を得たうえで、②すべての公的サービスを聖域なく俎上に上げて優先順位を付け、③実施の可否や制度変更、 実施する場合のサービス水準などを可及的速やかに決定する、いわば改革の総合的断行に向けた強力な推進力と、そうした推進力の中期的確保にある。国民各層 から絶大な支持を得た小泉政権のリーダーシップ発揮が切望される。
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