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2005年08月16日

2005~06年度改訂見通し (4~6月期1次QE公表後)

4~6月期は年率+1.1%成長
(1)  4~6月期のわが国実質GDP(1次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.1%)。
 在庫投資が大幅なマイナスとなったものの、個人消費・設備投資の2大内需項目で強めの伸びが続いたことに加え、1~3月期に前期比マイナスとなった輸出が、米国・中東・中南米向けを中心に息を吹き返したことから、3四半期連続のプラス成長に。
(2)  主要需要項目の動きは、以下の通り。

イ)個人消費(実質:前期比+0.7%、年率換算+3.0%)
 1~3月期の急増(年率+5.0%)後も増勢が持続。雇用不安・所得不安が和らぐなか、中所得者層の支出が持ち直してきたことが主因。
 支出項目別にみると、①大型連休におけるレジャー需要、②デジタル家電・パソコン、③季節商品(エアコン、「クールビズ」関連をはじめとする夏物衣料)などの分野に明るい動き。乗用車も相次ぐ新車投入、販促強化が奏功し堅調。
 もっとも、本年前半(1~6月)の増勢(2004年後半対比:年率+2.9%)は、昨年後半の弱い動きからの反動が含まれているとはいえ、同時期の雇用者報酬の回復力(同+0.7%)からみてやや過熱気味。

ロ)住宅投資(実質:前期比▲2.3%、年率換算▲8.9%)
 2期連続の前期比マイナス。1月からの住宅ローン減税縮小などを受けて、持家を中心に頭打ち傾向が持続。

ハ)設備投資(実質:前期比+2.2%、年率換算+9.0%)
 1~3月期の年率+11.2%に続き、強めの伸び。①電力業のペントアップ需要(電力業の2005年度設備投資は12年ぶりに増加へ)、②マスコミ業の建設投資(テレビスタジオ、印刷工場)といったいくつかの大規模案件が押し上げていることを勘案する必要があるものの、基本的には、潤沢なマネーストックの一部を産業高度化に向けた投資へ重点配分する動きが広がってきている。投資需要の厚みは着実に増す方向。

ニ)民間在庫投資(実質:前期比寄与度▲0.5%ポイント)
 実質成長率を大きく押し下げ(前期比マイナスは3期ぶり)。①海上輸送のボトルネックが生じているなか、1~3月期に船積み待ちのために積み上がった自動車などの在庫が減少に転じたこと、②国内民需の強めの伸びを背景に、資本財・非耐久消費財分野で「意図せざる在庫減」が生じた可能性、などが要因として指摘できる。
 もっとも、生産財の汎用品分野でこのところ、中国の生産能力拡大の影響から在庫が積み上がるなど、「船積み要因」を除いた在庫投資の実勢は、若干ながらプラスの方向(1~6月として均してみると、2004年7~12月期対比小幅増加)。産業全体でみた在庫調整圧力はなお残存しているものと判断される。

ホ)公共投資(実質:前期比▲1.3%、年率換算▲5.2%)
 2004年度補正予算(災害復旧関連、2月成立)の需要押し上げ効果が出ているものの、全体としては減少傾向が持続。

ヘ)輸 出 (実質:前期比+2.8%、年率換算+11.6%)
 1~3月期の減少から息を吹き返す格好に。米国・中東・中南米向けの自動車、資本財輸出が大きく牽引。
 もっとも、1~3月期の減少の主因であった中国・EU向けの頭打ち傾向は持続。加えて、輸送遅延の影響などを均すべく、1~6月の伸び率をみると年率+4.2%。2004暦年前半の同+19.9%、後半の同+6.0%からみれば、スローダウンの方向。

ト)輸 入 (実質:前期比+1.6%、年率換算+6.7%)
 原油輸入に弱い動きがみられるものの、①国内民需の堅調、②国際分業体制の稼動本格化を背景に、8期連続の前期比プラス。
(3)  4~6月期の成長率のパターンは、持続的成長に向けて内需が底堅さを増してきていることを確認する内容。もっとも、景気実感により近い名目成長率は横ばいと、なお「踊り場」が続いていたことを示唆。
 加えて、鉱工業指数には、①電子デバイス分野の在庫調整が終盤で若干もたついている、②生産財の汎用品分野の在庫が積み上がっている、などの弱い動きが残っている。
 ①所得の伸びからみて年前半の消費拡大ペースが続くとみるのは難しいこと、②中国・EU向けの不調から輸出に弱さが残ることも勘案すると、7~9月期の成長率は一旦鈍化する公算。
「踊り場」脱却後は緩やかな回復
(1)  景気の先行きを展望すると、7~9月期は、①中国・EU向け輸出の弱い動き、②一部分野での在庫調整の遅れを背景とした生産活動の一進一退状況、③本年前半における個人消費の強めの伸びに一服感が出る可能性、などから、4~6月期の成長率を若干下回る公算。
 もっとも、①設備投資の大幅な拡大、②雇用環境の改善、③米国景気の持ち直しが見込まれるなか、成長率の大幅低下は回避。在庫調整にメドがつき、生産活動が回復し始める秋口以降景気拡大のモメンタムが強まり、「踊り場」脱却が明確化する見通し。
(2)  2005年度下期から2006年度にかけては、①各種構造調整圧力の一層の後退、②在庫調整圧力の解消などを背景に、景気回復傾向をたどる見通し。
 ただし、以下の3点から、四半期ごとの成長パターンには不安定さが残る公算。
賃金の回復力が従来対比緩やかなもとで、定率減税縮小をはじめとした各種家計負担増が断続的に予定されているなど、個人消費の増勢が加速するのは難しいこと。
利上げ効果の浸透から米国景気の微調整が見込まれるなか、2006年度の輸出に加速感が生じる展開は見込み難いこと(2002~04年度のような2ケタ増は困難)。
設備投資の拡大基調は続くものの、資源価格の高止まりが企業収益圧迫に作用し続けるほか、2005年度中の大型案件による押し上げ影響の反動が出るため、2006年度の増勢はやや鈍化へ。
(3)  以上の結果、実質成長率は、2005年度+2.0%、2006年度+2.2%と、明確な加速感は生じないものの、いずれも2003~04年度並みの水準を維持する見通し。
(4)  なお、今夏の衆議院解散・総選挙の景気に対する影響は、短期的には軽微。
 また、中長期的にも、これまでの「構造改革路線」の逆行を促すような選挙結果が出ない限り、大きな影響は生じない見込み。仮に政権交代があるとしても、郵政民営化に象徴される「官から民へ」「貯蓄から投資へ」という改革の流れが継承されれば、わが国経済の活力が急速に減退する事態は避けられる見通し。
わが国経済成長率見通し
わが国経済成長率見通し
(資料) 内閣府。予測は日本総研。
(注) 予測に際しては、以下の2点を前提としている。
①本年9月の総選挙後も、政府の「構造改革路線」は基本的に継続。定率減税は、2006年1月に半減後、2007年1月に全廃。
②米国景気は、本年7~9月期に年率+4%台の高成長となった後、利上げ効果の浸透を背景に2006年末にかけ小幅減速。
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