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2005年08月12日

米国住宅「バブル」を検証する ~その大きさと“破裂”時のインパクト~

【要 旨】
1.本レポートは、懸念が強まっている米国の住宅「バブル」の大きさを試算するとともに、それが “破裂”した際のインパクトについて検証する。

2.2004年半ば以降の住宅価格は、前年比+10%超を記録するなど騰勢が加速。この背景に は、①家計の住宅取得能力の向上、②住宅取得世代の増加、③多様な金融商品の登場、と いった要因が指摘できる。

3.住宅価格の高騰は、資産効果を通じて個人消費の押し上げに作用。また、住宅ローンにより 家計が調達した資金は住宅投資額を大きく上回っており、その多くが消費に回されている可 能性が強い。

4.セカンドハウス購入や投資目的から住宅購入する人の割合が上昇傾向にあることを背景に、 現在の住宅市場には「バブル」が発生していると判断される。現在の住宅価格は「適正価格」 を2~3割上回っていると試算され、住宅価格が下落した場合、米国経済への悪影響が懸念 される状況。

5.こうした住宅「バブル」が破裂するきっかけとして懸念されるのは長期金利の上昇。長期金利 が1%上昇した場合、住宅投資抑制を通じた間接効果も含め、住宅価格は▲6.9%下落すると 試算される。この場合、個人消費伸び率が前期比年率+2%台に減速することになるが、それ は、米国景気の大幅なスローダウンは避けられないことを示唆。

6.さらに、長期金利上昇をきっかけにいったん住宅「バブル」が破裂すれば、住宅価格がスパイ ラル的に下落する可能性を否定できない。仮に、住宅価格が25%程度下落して「適正価格」へ 収束していった場合、実質個人消費の伸びは大幅なマイナスに陥り、米国経済が大打撃受け ることは不可避。逆に、名目個人消費の伸び率が+6%程度の巡航速度を維持するためには 住宅価格は年率およそ4%程度の下落にとどまる必要がある。

7.今後数年間、米政策当局には住宅価格の緩やかな調整の実現に向けた、これまで以上に慎 重かつ機動的な政策運営が求められる。米国の住宅価格動向は米国景気の行方を左右する 重要ファクターであり、日本経済の動向にも多大な影響を及ぼす。加えて、住宅価格のソフトラ ンディングは先進各国に共通するテーマでありながら、政策手法の未だ確立されていない課 題であるだけに、今後の米国当局の対応とその帰趨が注目される。
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