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2005年07月21日

小さくて効率的な政府の実現に向けて

要旨
2005年6月、「骨太の方針2005」が策定され、小さくて効率的な政府の実現が社会保障制度の抜本的見直しと並ぶ構造改革の柱として明確に位置付け。定数削減による総人件費改革と市場化テストが骨子。小さくて効率的な政府の実現は財政構造改革でも重要。基礎的財政収支改善に向けた歳出・歳入一体改革に当たり、活力原則、透明性原則と並ぶ3原則のひとつとして歳出削減なくして増税なしの基本方針が提示。
しかし、小さくて効率的な政府実現の成否は不透明。まず総人件費改革では、公務員数の定員純減に焦点が当てられているものの、わが国の公的セクターは、諸外国比、とりわけ80年代以降、行政改革を強力に推進してきた主要先進各国対比小規模で、定数削減余地は必ずしも大きなものにならない公算大。
次いで市場化テストをみると、英米など、成果を上げた国々では、政府の組織や職員サイドで市場化テストに前向きに対応しようとする動きが台頭。これには、民間とほぼ同様に公務員も失業リスクに晒されるなか、市場化テストに積極的に参画することで雇用が確保されるうえ、プロジェクトを成功させることで所得増加も期待できるという事情が指摘可能。それに対して、わが国公務員制度では、組織改廃などを理由とする免職は制度上存在するものの事実上封印される一方、主要先進各国中、給与水準が相対的に高めの可能性も。
さらにアメリカでは、60年代入り後、財政状況の逼迫化などを背景に地方公務員の相対的所得水準が趨勢的に引き下げ。そうしたなか、州別に差異はあるものの、総じて労使交渉のスキームが次第に制度化。かつては、①公的サービスは市民生活に不可欠で業務の断絶は不可、②公務員には職務上一定の制約が負荷、③給付制度が民間比充実、などを根拠に労使交渉は低調。しかし、賃金水準の見直しなど情勢変化を映じて労使交渉制度が浸透。
このようにみると、わが国が小さくて効率的な政府を実現するには、公的サービスに関する業績評価・情報公開制度の拡充が焦眉の急。それによって初めて、利用者の満足度や問題点といったサービス水準の達成度合いや提供分野の範囲、さらに設備費や人件費をはじめとするコスト、あるいは生産性や費用対効果など、様々な定量指標を通じた検証を個別サービス毎に、要否や達成目標も含めつつ諸外国と対比しながら行うことが可能に。さらに、公的サービスの一段の質向上と効率化の実現には競争原理の活用が焦点。そのためには、業績評価と情報公開に加えて、①公的サービス提供機関の拡大と②公務員制度の弾力化が最重要課題。
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