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2005年07月05日

新しい成長パターンへの移行 ~脱デフレ期の政策運営のあり方~

要約
1. わが国経済は、2004年半ば以降調整局面が持続。ここにきて電子デバイス分野での在庫調整が進み、個人消費に明るさがみられるものの、輸出の減速や企業収益の増勢鈍化など懸念材料も残存。依然として「踊り場」状態が続いている。
2. 2005年度下期から2006年度にかけてのわが国景気を展望するには、(1)米中景気と輸出の行方、(2)企業業績と設備投資の動向、(3)所得環境と個人消費の展望、の3点がポイント。
イ) 米国経済は当面やや減速した後、2005年秋頃以降は拡大モメンタムが徐々に強まる。中国経済は高成長を続けるものの、外資進出の一服などから輸入の鈍化傾向が続く。そうした状況下、わが国輸出も当面減速傾向が続き、再び増勢が強まるのは2006年入り以降に。
ロ) わが国企業の業績は製造業を中心に増益モメンタムが弱まる方向。もっとも、数年来のリストラの成果として収益体質が強化されていることから、高水準の利益が維持され、設備投資は底堅く推移。
ハ) 所得雇用環境は緩やかに持ち直すものの、定率減税の縮小・廃止をはじめ家計負担増が今後無視できない規模で予定されている。このため、個人消費は底割れは回避されるものの、総じて低空飛行が続く見通し。
3. 以上から、当面、景気は調整状態を余儀なくされるものの、2005年秋ごろから2006年前半にかけて回復傾向が徐々に明確化する見通し。もっとも、断続的な家計負担増がブレーキとなり、「ストップ・アンド・ゴー」の状況が続く。
4. 90年代後半以降の企業リストラクチャリングの本格的転換を経て、わが国の成長パターンに構造変化の兆し。
イ) 90年代には輸出が設備投資、ひいては景気全体の変動に大きな影響を及ぼしてきたものの、近年は輸出の設備投資への影響度が低下し、結果として景気全体への影響度も低下。
ロ) かつてみられたマクロ的な景気循環メカニズム(在庫循環、設備投資循環、所得→支出のメカニズム)が曖昧になってきている。この結果、景気は規則的な「循環」を繰り返すというよりも、不規則に「変動」する傾向を強めている。
5. こうしてみれば、2005~06年度は、日本経済が「“循環・外需主導”型成長から“革新・内外需バランス”型成長へ転換するまでの移行期」として位置付けることが可能。
6. 賃金と物価の関係からすれば、2006年中にはデフレ脱却の見通し。デフレ脱却後についても、製造業での生産性向上、非製造業での賃金抑制等を背景に、物価の安定基調は続く見通し。
7. 以上の景気認識に立てば、政府・日銀が採るべき政策対応は以下の通り。
イ) 2006年入り以降、量的緩和のフレームワーク変更を可能とする条件は整う見通し。ただし、マーケットとの“認識の共有”を十分に行ったうえで、金利機能正常化の第一歩としてゼロ金利政策に移行すべき。その後の景気回復テンポの弱さ、ディスインフレ基調を前提にすれば、利上げペースは緩慢にすべき。
ロ) 定率減税廃止や消費税率引き上げは、現在漠然と社会保障のためと言われているものの、その前提となるべき社会保障のあり方は不透明。社会保障ビジョンの提示が優先されるべき。2005~06年度については、金利機能の正常化を早期に実現すべきとの観点から、量的緩和の解除を優先すべき。
ハ) 2005~06年は「移行期」として位置付けられ、その意味ではなお景気回復力には弱さが残る。新しい成長パターンへの円滑な移行を支援する「成長促進政策」に注力すべき。
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