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2005年06月27日

財政の持続可能性と医療制度改革

要約
Ⅰ.医療給付費の抑制に向けた動きが本格化。(a)財政健全化の観点から、給付費の伸び率を経済成長率等のマクロ指標によって管理すべきとする意見と、(b)給付費の水準は国民のQOL(生活の質)向上の観点から考えるべきであり、マクロ指標による管理は不適切とする意見が対立。ちなみに、「骨太の方針2005」ではマクロ指標の導入について明記されず。

Ⅱ.もっとも、給付費抑制に向けた具体的な取り組みの方向性は、両者で共通。

中長期的な対策として、生活習慣病対策の推進や入院日数の短縮等(「医療費適正化計画」の実施)、
短期的な対策として、公的保障範囲の見直し。

  これらにより、2025年度の給付費は、58兆円から47兆円まで削減される見通し。ちなみに、給付費減額分(11兆円)の内訳は、①が6.4兆円(厚生労働省の試算)、②が4.5兆円(日本総研の試算)。

Ⅲ.ただし、これら抑制策の効果には以下の限界。
効果がフルに発現された場合、2005~25年度の年平均増加率は2.6%。マクロ指標による伸び率管理制度を導入した場合の増加率が2%程度であることを考えると、目標値を達成するためには、さらに踏み込んだ対策が不可欠であることを認識する必要。
中長期な対策の効果は、実際に発現するか不透明。これは、(a)生活習慣病対策が計画通り実施される保証がない、(b)患者の入院から入院外へのシフトが生じる可能性が大きい、等による。

Ⅳ.財政健全化と医療制度改革の同時達成に向けた課題を整理すると、以下の4点。
1. 検証手段としての伸び率管理制度の導入
伸び率管理制度は、給付費を抑制する有力な手段。もっとも、現行システムのもとで同制度をリジッドに適用した場合、医療の質が低下する懸念も。したがって、同制度は給付費抑制策が有効に機能しているかを検証する手段と位置づけるべき。
なお、実際の導入に際しては、国民生活や医療機関への影響を最小限にとどめるためにも、年単位ではなく3~5年という中期的なタームで検証する等、制度の柔軟な適用が求められる。
2. 適正化効果が発現される環境整備
医療機関の機能分化の明確化、診療情報の透明化、かかりつけ医体制の整備、個人や保険者に対して予防強化に向けたインセンティブの付与、等を通じて、「医療費適正化計画」の効果が発現するような環境を整備。
3. 景気に配慮
患者自己負担の引き上げを柱とする短期的な対策は、可処分所得の減少を通じて消費に下押し圧力が働く懸念。段階的な実施が求められる。
4. 改革の全体像の提示
公的保障の充実と国民負担の間にはトレード・オフの関係。高保障・高負担、低保障・低負担、両者の中庸、のいずれを選択するかは国民の判断に委ねるべき。そのためには、制度横断的な改革の全体像に関していくつかの選択肢を国民に示す必要。
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