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介護人材確保の推進に関する調査研究事業

2014年05月28日 齊木大


*本事業は、平成25年度老人健康保健増進等事業として実施したものです。

事業目的
 介護事業者においては、これまで処遇改善交付金等による賃金面等(衛生要因)での改善策が講じられてきたが、介護人材にはこれまで以上に高い資質が期待されていることを踏まえると、「職場の魅力」(動機づけ要因)の向上を推進することが重要と考えられる。
 そこで本事業では、介護事業者における「職場の魅力」の向上に関する取り組みを推進するための課題と方策を明らかにするとともに、介護の職場に対する社会的な評価を改善するための課題とその解決方策の検討を行った。

事業内容
(1)検討委員会・介護事業者懇談会・ワーキンググループにおける検討
 介護人材確保に関する各論的に論じられてきた取り組みを集約した上で、本事業の推進に関する助言・指導等を行うことを目的として、介護事業者、人材マネジメント会社、教育機関、行政等の構成員から成る検討委員会を設置した。本検討委員会における検討そのものが、介護分野の魅力向上と社会的評価の改善にも資するよう、本検討委員会は公開で開催した。
 また検討委員会での検討結果(中間整理)を踏まえ、事業者による具体的な取り組みを促進する上で必要な条件整備を検討するため、介護事業者、検討委員会委員から成る懇談会、およびワーキンググループを設置した。

検討委員会 概要
【開催回数】 平成25年8月~平成26年3月の間に4回(いずれも公開で開催)
【構成員】 介護事業者、人材マネジメント会社、教育機関、行政等 9名

介護事業者懇談会・ワーキンググループ 概要
【開催回数】 介護事業者懇談会 : 平成25年10月
     ワーキンググループ : 平成25年12月(2回開催)
【構成員】 介護事業者懇談会 : 13事業者、介護事業者 : 10事業者


(2)都道府県・政令指定都市調査
 検討委員会において、介護人材確保の推進のために、地域の実情に応じた介護分野と雇用・労働分野の施策を一体的に促進する必要があるとの方向性が示されたことを受け、都道府県および政令指定都市における介護人材確保推進に関する取り組み等の現状と、今後の方向性や課題等を把握することを目的として、アンケート調査を実施した。調査対象は全都道府県・政令指定都市の介護保険担当部局とした。

【調査方法】 質問紙調査(郵送による発送/ファックスによる回収)
【調査対象】 全都道府県・政令指定都市の介護保険担当部局
【調査期間】 平成26年3月3日~18日
【回収数(回収率)】  44団体(65.7%)

【主な分析項目】
・介護人材確保に関する取り組みの実施状況
・介護人材確保を推進するための庁内関係部局および庁外関係機関等との協議の場の運営状況
事業者による自主的な取り組みを推進するための施策
・今後の介護人材確保に関する取り組みで重視する取り組み、課題

事業結果
1.調査結果の総括

(1)介護人材に係る現状と今後の対応の方向性
 介護職員の離職率は低下傾向にあるが、事業所によるばらつきが大きく、今後は都市部で人材確保が難しい状況である点について認識の共有を行った。
 それを踏まえ、「参入促進」や「定着促進」の観点からのさらなる取り組みに加え、「多様な介護人材の活用」と「生産性の向上・イノベーションの創出」の観点に立った取り組みの推進も必要という意見が示された。


(2)今後の取り組みを強化するために必要な視点
 参入の促進には「イメージアップの推進」「採用戦略の充実」「裾野を広げる」、定着の促進には「事業所の意識改革と自主的な取り組みの推進」「事業所の連携強化の推進」「専門性の高い人材の確保」という視点を加えて推進すべきという意見が示された。
 また、「多様な介護人材の活用(生活支援・福祉サービス等の充実など)」「生産性向上・イノベーションの創出(品質の良い経営の見える化の推進など)」も推進が求められるという意見が示された。

(3)都道府県による広域的・総合的な支援
 介護人材確保の推進のために、都道府県において地域の実情に応じた介護分野と雇用・労働分野の施策を一体的に促進する必要があるとの方向性が示された。取り組みの方向性としては、「介護の職場の魅力を高める取り組みの促進」「より多くの人に介護分野に参入してもらうような働きかけ」「求職者が定着しやすい職場とのマッチングの実現」が重要という意見が示された。
 都道府県・政令指定都市調査結果では、庁内外での連携により具体的な取り組みに発展させることを課題と捉えている傾向がみられた。本調査事業の提案や、広島県や京都府等の取り組みの例などを活用し、各都道府県において取り組みをより深化させることが期待される。


2.介護人材の確保の推進に向けた示唆と課題

 本調査を通じて、介護人材確保を推進していくための提案が示されたが、まずは需要サイドである事業者が自ら魅力ある職場づくりを進め、「選ばれる事業者になる」ことが何よりも重要である。
 その上で、個々の事業所(者)だけで実施することが難しい介護業界のイメージアップやキャリアパスの構築に関する取り組みを、各事業者団体・職域団体等や、都道府県・市町村が支援する必要がある。特に都道府県は、需給推計の実施や養成の実施状況の把握、庁内関係部局や庁外関係機関等との協議の場の設置・運営を通じた取り組みの推進が期待される。国は、上述の取り組みを促進していくための支援が期待される。
 なお、運営基準等が事業者にとって取り組みの阻害要因とならないようにする視点も求められ、今後さらに検討を要する課題として挙げられた。


※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
 報告書:介護人材確保の推進に関する調査研究事業.pdf

本件に関するお問い合わせ
創発戦略センター マネジャー 齊木 大
TEL: 03-6833-5204   E-mail: saiki.dai@jri.co.jp
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