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マレーシアの廃棄物処理・リサイクル管理

2013年04月09日 七澤安希子


 マレーシアでは政府主導により廃棄物・リサイクルに関する管理が強化されており、今後リサイクル産業の立ち上がりが期待される。以下、廃棄物・リサイクル管理におけるマレーシアの状況について紹介する。

 これまでマレーシアでは、固形廃棄物と指定廃棄物に分け、地方自治体による廃棄物管理を行っていたが、最近では国による管理が強化されている。例えば、固形廃棄物に関しては、従来、税収の大きさによって地方自治体間で廃棄物管理の水準にばらつきが生じていたため、2007年に廃棄物処理公社が設立され、一部の州を除き全国同一基準による廃棄物管理及び最適な処理・運搬等が促進されている。また、指定廃棄物については、収益を見込める可能性が低いことを考慮し、政府は最終処分業務を担う特定の業者と長期独占契約を結んでいる。こうした取り組みにより、国全体としての廃棄物管理の水準が高まり、環境汚染の防止や、確実かつ効率的な処理が進むことが期待される。

 一方、計画策定の面では課題がある。中長期的な目標は立てられているものの、単年度ベースの詳細な目標設定はされていない。また、計画策定の前提となる処理に関する定量的なデータが十分把握されていないという課題もある。こうした事情もあり、現地の関係者からは「人口増加などの今後の環境変化に応じた検討がなされていない」という声も聞かれる。

 上記の課題も踏まえ、政府では現在、多くの人材を日本に派遣し、環境先進国である日本の知見を計画づくりや管理体制づくりに積極的に取り入れようとしている。こうした取り組みにより、今後、マレーシアではリサイクルの推進が予想される。廃棄物の適正管理という視点だけでなく、リサイクル産業の誘致、育成による産業集積という点も考慮されていくことになるだろう。こうした中で、環境先進国である日本企業の知見が活かされるチャンスも少なくないと考える。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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