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新興国インフラシステムのニーズにどう向き合うか

2013年02月13日 木通秀樹


新興国に都市インフラシステムを提案する日本企業から、顧客である開発者のニーズが見えないという声をよく聞く。ニーズが見えない理由は様々あるが、その一つに、都市の開発者が自分の求めるイメージを具体的に持っていないというものがある。

たとえば、工業団地のインフラのあるべき姿は、主に地域の開発目標と入居する企業のニーズによって決まる。しかし、工業団地の開発者には、これらが分かっていないことが多い。このため、開発者に確認しても明確な答えを期待することは難しい。

このような場合、開発目標の達成方法と、想定する入居企業のニーズを提案側が想定しなければならない。例えば、開発目標が低炭素化であれば、その達成方法として、省エネを徹底する仕組みを想定する。また、入居企業のニーズとして、税制優遇などの経営改善支援策、サプライチェーンを構成する企業との関係構築、人材確保などにおける優位性がある場合、これらに対応した支援策を想定する、などである。ここまでしなければ、開発者のニーズは見えてこない。

しかし、この段階でも想定できるニーズはまだまだ大枠のものだ。提案できるレベルの具体的なニーズまで落とし込むには、もう一段ブレークダウンしてサービスとして具体化しなければならない。ところが、開発者はこのサービスへのブレークダウンができていない。というのは、個々のサービスは入居企業のニーズに合わせるべきものであり、彼らの満足を得られる高い品質のサービス群を提供・更新等の管理をするためには、技術的に専門的な知識や能力が必要となるが、開発者にはそれが不足しているからだ。

開発者のニーズは、その隣で一緒に作っていかないと姿を現さない。しかも、それは専門的な能力がある人の支えによって実現できるものとなる。ニーズを探すのではなく、自らの専門性を活かして作っていく姿勢が問われる。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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