第1に、緊急時の流動性供給体制であるCMIM(Chiang Mai Initiative Multilateralisation)に関し、以下の通り、枠組みが強化された。①全体の規模を、1,200億ドルから2,400億ドルに倍増する(下表)。②IMFプログラムにリンクしない(プログラムなしでも融資を実行できる)部分の割合を20%から30%に拡大する。さらに、条件が整えば、2014年に40%に拡大する。③融資期間および最大延長可能期間を長期化する。④CMIM Precautionary Line(CMIM-PL)と呼ばれる危機予防のファシリティを導入する。
CMIMを実効性のある枠組みとするため、AMRO(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office)がシンガポールに設立され、サーベイランス活動が開始されている。具体的な活動として、地域および各国の経済に関する報告書の定期的提出に加え、各国へのコンサルテーションが順次、実施されている。上記の共同声明では、AMROに対し、①ADB・IMF・世界銀行などとの協力関係の強化、②AMROを国際機関とするための準備の加速、③ホスト国であるシンガポールの責任の明示、の指示が出された。シンガポールはすでに必要な支援の実施を確約している。
第2に、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)に関し、従来のロードマップの見直しによりNew Roadmap+が採用され、以下の9つの優先項目が示された。(1)具体的な成果を生み出すために取り組みを強化すべき既存の重要課題(Follow-up issue):①CGIF(Credit Guarantee and Investment Facility)の業務開始、②インフラ金融の枠組み整備、③機関投資家のための投資環境整備と情報提供、④ABMF(ASEAN+3 Bond Markets Forum)の活動強化、⑤域内決済機関(RSI)の設立に向けた取り組み。(2)ABMIの議論に弾みをつけるために付け加えるべき重要課題(Added issue):⑥国債市場の一層の整備、⑦消費者や中小企業の金融アクセスの強化、⑧域内の格付けシステムの基礎強化。(3) 国際金融情勢の変化に鑑み取り組むべき関連課題(Relevant issue):⑨金融知識の向上。