コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報

ニュースリリース

2012年央 米欧経済見通し
~回復基調を維持する米国・低迷が続く欧州~

2012年06月26日

【要 約】

1.米国景気は緩やかに回復する一方、ユーロ圏景気は悪化が明確化。

2.リーマン・ショック後の米欧の景気回復度合いには顕著な差が存在。経済のパフォーマンスの相違は、(1)財政政策、(2)バランスシート調整の進捗、(3)産業・労働市場の構造調整、の3点に起因しており、以下では、2012~13年の米欧経済を展望する上でポイントとなるこれら3点について検討。

(Ⅰ)財政政策
 リーマンショック後、米国は総じて拡張的な財政政策を維持。一方、欧州は景気回復明確化前に緊縮財政に転換。
 先行きを展望すると、米国では2013年初からの大規模な財政緊縮である「財政の崖」が焦点に。過度な緊縮財政は回避される見込みながら、財政悪化懸念が金融市場の混乱を招くリスクには留意が必要。
 一方、欧州では引き続き緊縮財政が持続。過度な緊縮財政に対する世論の反発を受け、欧州首脳は成長戦略にも配慮する姿勢に転じつつあるものの、欧州が掲げる成長支援策の景気下支え効果は限定的。

(Ⅱ)バランスシート調整
 米国では、家計の債務調整が着実に進展。住宅市場においても、需給バランスの改善に伴い住宅価格の下落率は縮小傾向。住宅市場の本格回復にはなお時間を要するとみられるものの、調整による景気下押し圧力は緩和方向に。
 一方、欧州では、住宅市場の調整が遅れており、景気下押し圧力が根強く残存。多額の公的債務を抱えた政府と多額の不良債権を抱えた金融機関が、相互依存関係を強めている状況下、金融機関の貸出姿勢の改善は見込み難く、設備投資に対する下押し等を通じた実体経済へのマイナス影響が長期化する見込み。

(Ⅲ)構造調整
 米国では、労働コストの低下やドル安の進行などを背景に、製造業の対外競争力が大きく向上。輸出の増加や自国製品需要の高まりを受けた堅調な生産活動が、国内投資の拡大を通じて米国経済を下支えする公算。一方、製造業の人件費の抑制や生産性の上昇は、家計の所得環境の改善を阻害する面もあり、個人消費の拡大を促すには至らず。
 欧州では、南欧諸国の対外競争力回復に向け、賃下げなどの労働市場改革が不可避。もっとも、南欧諸国の労働市場改革が効果を発揮するには時間を要し、むしろ短期的には、所得減や失業増を招く可能性。

3.以上を踏まえ、米欧経済の見通しは以下の通り。

(Ⅰ)米国: 製造業を中心に企業部門が総じて堅調であるほか、家計の債務調整も着実に進展しており、景気回復基調を維持する公算。(1)賃金の伸び悩み、(2)住宅価格の低迷持続、(3)連邦政府の歳出削減、などが足かせとなるため、当面、緩やかな回復ペースにとどまるとみられるものの、財政面からの下押し圧力が減衰する2013年央以降は、個人消費を中心に回復ペースが強まると期待。
(Ⅱ)欧州: (1)緊縮財政、(2)雇用・所得環境の悪化、(3)債務問題の長期化を受けた企業・消費者マインドの悪化、等を背景に、2012年秋口にかけて景気悪化が続く見込み。その後は、ユーロ安を受けた輸出の増加、ドイツ国内需要の拡大が見込まれるものの、南欧重債務諸国では、緊縮財政が続くほか、金融システム不安が燻り続け、内需の持ち直しは期待薄。ユーロ圏全体では極めて緩慢な成長ペースが長期化する見通し。

4.上記見通しに対するリスクは、以下2点。
(1)ギリシャのユーロ離脱: ユーロ離脱懸念がポルトガルやスペインへ波及し、金融市場が混乱すれば、世界的なリスク回避姿勢を招き、世界経済の下押し圧力となる恐れ。
(2)米国の財政緊縮: 減税措置の延長や「財政の崖」の回避に失敗した場合、大幅な景気下押し圧力を招来。

本件に関するお問い合わせ先

調査部
村瀬(米国): 03-6833-6096, murase.takuto@jri.co.jp
菊地(欧州):
藤山(総括): 03-6833-2453, fujiyama.mitsuo@jri.co.jp

会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ