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2011年米欧経済見通し
~低成長が長期化~

2010年11月17日

【要 約】

1.米国・ユーロ圏景気は、所得雇用環境の本格的な改善をみないまま、景気対策効果が一巡し始めており、先行き減速リスクが増大。

2.当面の景気下押し圧力をみるために、家計のバランスシート調整や住宅市場の調整度合いを点検すると、次の通り。
①米国:家計のバランスシート調整、住宅価格調整は峠を越した模様。もっとも、住宅価格下落によるマイナス影響が顕在化しており、その処理に目処がつくまでは景気の重石となり続ける見通し。
②ユーロ圏:バランスシート、住宅価格ともに調整先送り色が強い。調整の長期化が景気の長期停滞につながる恐れ。
③英国:バランスシート・住宅価格ともに調整は道半ば。当面景気下押し圧力が残存。

3.以上を踏まえ、先行きの米欧景気を見通すに当たり、ポイントとなる点をレビューすると、次の通り。
(1)米国
①雇用:雇用増加を起点とする内需の自律拡大メカニズムはいまだ作動せず。個人消費は力強さを欠いた状況が続く見込み。
②政策対応:2009年春の景気対策効果が剥落する一方、中間選挙での民主党大敗を受け、オバマ政権の追加経済対策の実現は困難化。ブッシュ減税継続が下支え要因ながら、景気押し上げは限定的。
③輸出:新興国の高成長に支えられ、輸出は引き続き堅調に推移する見通し。年央以降のドル安も2011年以降輸出押し上げに作用。
(2)欧州
①輸出:ユーロ圏では、新興国向けを中心に引き続き輸出が堅調に推移する見通し。もっとも、ユーロ安一服を受け、増勢は鈍化。
②政策対応:PIGS諸国では、大幅な緊縮財政を余儀なくされるなか、当面景気悪化が続く見通し。ドイツをはじめとした主要国でも2011年入り以降緊縮財政に着手する見通しで、内需停滞感が一段と強まる公算大。
③金融情勢:金融機関の融資態度に改善の動きはみられず。PIGS諸国に対するソブリンリスク警戒感が再燃するなか、金融システム不安が域内に広がるリスクはくすぶり続ける見込み。
④イギリスでは、2011年以降緊縮財政が本格化するうえ、家計のバランスシート調整も道半ばにあり、景気の悪化は避けられない見通し。

4.以上を踏まえ、2011年の米欧経済の見通しは以下の通り。
イ)米国:景気対策の効果が剥落する一方、所得雇用環境の改善が緩慢にとどまり、潜在成長率を下回る成長が続く見通し。
ロ)欧州:ユーロ圏では、輸出の増勢が鈍化するうえ、主要国での緊縮財政着手などもあり、ゼロ%台の低成長が続く見通し。英国も、大幅な緊縮財政を主因に、2011年入り以降景気が再び弱含む見通し。

5.上記見通しに対するリスクは、米国の量的緩和に伴う副作用の顕在化。すなわち、原油をはじめとした資源価格の高騰やインフレ期待の高まりを受けた長期金利の上昇が生じれば、内需の低迷が一段と深刻化する恐れ。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 牧田 健
TEL : 03-3288-4244
E-mail : makita.takeshi@jri.co.jp

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