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《2010~11年度見通し 》
下振れ圧力が高まるわが国経済
~ 個人消費の反動減で2011年度は失速 ~

2010年11月17日

【要 約】

(1)わが国景気は、夏ごろから弱含み。とりわけ、鉱工業生産の減少が明確化。主因は、買い替え補助終了による自動車販売の大幅減少。加えて、これまで景気を牽引してきた輸出も頭打ちに。一方、内需は本格回復に至らず、「底ばい」状態が持続。内需が脆弱ななか、耐久消費財と輸出の牽引力が低下したことが、景気弱含みの原因。

(2)今後を展望すると、以下の三つが景気下振れ要因として作用。
①輸出
欧米向けは、これまで増勢を維持してきたものの、公的部門・民間部門ともに景気牽引力の低下が予想されるため、今後は弱含みに転じる見通し。一方、増勢が鈍化している新興国向けは、景気対策効果の一巡、電子製品などでの生産調整などが続くため、当面、急ピッチの回復は期待薄。
②円高
円高がわが国経済に及ぼす影響は、①価格を通じた影響、②数量を通じた影響、③企業行動に与える影響、の3ルート。
イ)価格を通じた影響は、為替差損により輸出企業の売上下振れと、為替差益による輸入企業のコスト減少。マクロでみれば、為替差益が為替差損を上回るため、ネットでプラス影響。10%の円高ドル安で、年間約1兆円のプラス効果。
ロ)数量を通じた影響は、わが国製品の価格競争力の低下を通じ、輸出数量を押し下げ、輸入数量を押し上げ。足元の為替水準を維持したとしても、2011年度の実質GDPが0.2%押し下げられる見込み。韓国・台湾企業との競合激化などを勘案すれば、マイナス影響はさらに拡大する可能性も。
ハ)企業行動に与える影響は、コスト削減姿勢の強まり。中長期的には、製造業の海外生産シフトが加速。国内の設備投資や雇用の減少要因に。
トータルでみると、短期的なプラス効果よりも、中長期的なマイナス効果の方が大きいため、円高はわが国経済にマイナスの影響。
③政策効果
2011年入り後、テレビ販売に反動減。地デジ切り替え前までに約2.5年分に相当するテレビ需要が先食いされる見込み。そのため、地デジ切り替え後の反動減は深刻で、かつ低迷は長期化する見通し。一方、9月以降に打ち出された経済対策による景気押し上げ効果は限定的。

(3)内需も、これら下振れ圧力を吸収して、景気を牽引するほどの力強さは期待薄。4%近いGDPギャップが残っているため、デフレ傾向が長期化するほか、企業の雇用・設備過剰感も残存するため、設備投資・雇用環境の大幅改善は困難。

(4)以上を踏まえると、①輸出の低迷持続、②景気刺激策の反動減、③内需の回復力の脆弱さ、の3点を背景に、わが国経済は当面「足踏み」状態が続く見通し。とりわけ、2011年入り後は、消費刺激策の効果剥落によるマイナス影響が実質GDPを大きく下押し。景気失速感が強まる懸念。
GDPギャップ拡大の主因は企業部門の落ち込みであること、雇用拡大には企業部門の活性化が不可欠であること、などを勘案すれば、企業向け対策が最重要課題。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 枩村 秀樹
TEL : 03-3288-4524
E-mail : matsumura.hideki@jri.co.jp

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