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RIM 環太平洋ビジネス情報 2000年2月No.48

IMF支援3カ国における構造改革の進展とガバナンスの変化

2000年02月01日 さくら総合研究所 主任研究員 清水聡


要約

本稿の目的は、アジア通貨危機におけるIMF支援3カ国(タイ、インドネシア、韓国)において行われている構造改革の意義について考えることである。今回の危機は、アジア経済の在り方(「ゲームのルール」)に大幅な変更を迫るものであり、その意味でエポックであったと考えられる。これまでのルールに何らかの問題があったために危機が起こったのであるから、危機以前の状態に戻すことは、もはや不可能である。既存のルールを変え、今後のルールを決めていく上で、金融・企業部門の構造改革は、非常に重要な意味を持っている。構造改革が有意義であるとすれば、それはまさにこの点においてであろう。本稿では、構造改革の意義について考えるために、構造改革の進展とそれに伴う経済の在り方の変化との関係を主要テーマとする。

IMFによれば、危機の原因として、金融システムの脆弱性やガバナンスなどの構造問題が大変重要であり、危機の対策として構造改革を中心に据えることが不可欠であった。それらの構造問題を解決することによって、市場のコンフィデンスの回復や、資金配分の効率性の上昇が達成される、というのがIMFの主張である。金融システムの脆弱性やガバナンスの問題とは、言い換えれば金融機関および企業のガバナンスの問題である。金融・企業部門の構造改革によって、金融機関、企業などのプレーヤーが変化するだけでなく、経済活動のルールが変化すると考えられる。言い換えれば、金融機関および企業のガバナンスに変化が生じることになる。本稿では、この「ガバナンスの変化」について考えていく。

金融機関および企業のガバナンスは、(1)市場競争、(2)政府の規制・監督、(3)金融・資本市場の3つの要因に分けて考えることができる。構造改革以前のガバナンスの状況、およびそれらが構造改革の進展によってどのように変化しつつあるかは、3カ国それぞれに異なっている。構造改革の意義について考えるためには、このようなガバナンスの変化がもたらすプラスの効果、およびマイナスの影響を分析しなければならない。基本的には、長期的に構造改革を進めることは不可欠であろう。したがって、構造改革の内容や進め方が、各国にとって最適なものであるかどうかについて、十分に検討していく必要がある。

なお、紙面の制約により、韓国に関する具体的な記述は掲載を省略した。
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