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Sohatsu Eyes

2003年環境ビジネスの展望(2/2)

2003年01月28日 木通秀樹


環境ビジネスクラスターマネージャーの木通です。前号では、環境ビジネス分野の2003年の展望を示させていただきました。環境、特に廃棄物処理の市場を概観して、動きをご紹介させていただきました。

今回は、昨年度から注目度が上がってまいりましたバイオエネルギーへの取り組みをご紹介させていただきます。近年、資源のリサイクルや廃棄物の適正処理のためにバイオマスの有効利用が注目されています。バイオマスとは生 物由来の資源のことであり、生ごみなどの食品廃棄物や、家畜の糞尿、建設廃材などの産業廃棄物、また、間伐材などの未利用資源などのことです。

欧米では、脱化石燃料を可能とする環境性を重視したエネルギー資源として早くか ら注目し、1999年には国家戦略としてバイオマスを今後のエネルギー資源とする方針を打ち出し、様々な規制緩和や事業環境整備を行っています。我が国においても、欧米には遅れましたが、昨年末に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が発表され、バイオマスに対する利用が本格化することとなりました。

当環境ビジネス事業分野では、バイオマスの有効利用に対して2つの提言を行なうとともに、実プロジェクトに取り組み、実際に社会変革を起こすべく活動を行っています。1つめの提言は、「都市周辺では生ごみと家畜糞尿を併せて 処理することによって新エネ発電事業を行なうことが可能になる」というものです。

これを、「都市周辺型バイオエネルギー事業」と呼び、実際に神奈川県内で事業の立ち上げに取り組んでいます。バイオマスはこれまで収益が得ら れ難い事業とされてきましたが、自治体の廃棄物処理委託費の削減を行なう官民の協働事業とすれば、自治体の財政負担の低減、バイオマス排出者の処理費用負担の軽減を行なうことができ、現実的な事業とすることが可能となります。

2つ目の提言は、「農村部ではバイオエネルギーと農業のコラボレーション推進によって、地域の活性化を行なうことが可能になる」というものです。これを「農村型バイオエネルギー事業」と呼んでいます。バイオマスの有効利用は 廃棄物処理という側面と、エネルギー利用という側面があります。本事業ではこのうちのエネルギー利用を重視し、そのためにエネルギーを多く生成することができるバイオマスを育てます。周辺では有機農法を進める付加価値の高 い農業事業の確立を目指します。

我々は、これらの提言を「言う」だけでなく、実プロジェクトして、SCC(スマート・コミュニティ・コンソーシアム)にて検討を「具体的に進めて」います。

「バイオエネルギー社会」への展開をインキュベートし、地球環境に貢献する社会作りを目指します。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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