要旨 |
1. |
関西経済は、2002年から始まった回復の波及効果が生む「景気回復を持続させようとする動き」、「上向きの力」と、2004年以降持ち上がった「回復を頓挫させる可能性がある動き」、「下向きの力」との間で、いわば綱引きの状態となっている。 |
2. |
輸出が関西経済を牽引する力は以前ほど強くはなくなっているが、2000年から2001年にかけて海外経済の成長に急ブレーキがかかり、関西の輸出も大幅な減少に転じた状況とは異なり、景気失速要因にはなっていない。 |
3. |
電子部品・デバイスは、2003年後半から2004年前半にかけて、生産増加が出荷を上回ったため在庫積み上がりが起きたが、これに端を発して関西経済が全国よりも厳しい調整を迫られるような事態には陥っていない。 |
4. |
設備投資には、更に加速して単独で関西経済を牽引するほどの勢いは期待できないが、引き続き堅調で、「景気回復を持続させようとする動き」の一翼を担う。 |
5. |
景気回復が少しずつではあるが雇用者段階に波及してきたため、個人消費は趨勢としては回復方向とみられる。ただし、所得の回復が緩やかにとどまるため、個人消費が景気の牽引役となることは難しく、景気の下支え役程度とみられる。 |
6. |
関西経済は2004年春頃から「踊り場」状況が続いている。景気後退局面であれば、生産はピークを迎えた後、減少基調となる場合が多いが、最近の生産の動きは様相が大きく異なっている。デジタル関連の在庫調整終了や、海外経済の再加速による輸出環境の好転などの条件がそろってくれば、「踊り場」脱出に向けて「上向きの力」が勢いを増すことになるが、あと半年程度要するとみられる。 |
7. |
関西経済が、短期的だけでなく、中長期的にも力強さを備えていくためには、経済活動を支える事業所数や従業者数の増加が欠かせない。関西では、企業業績の回復、立地制度の緩和、企業誘致助成の拡充などを背景に工場立地が増加している。この流れを一層推し進めることが、関西経済の復活を確かなものにしていくだろう。 |