【要旨】 |
(1) |
日照時間が長くなる春から秋にかけて時刻を1時間早めるサマータイム制度の導入準備が進められている。超党派による「サマータイム制度推進議員連盟」が2005年4月にサマータイム法案を策定しており、同法案が今国会中に提出される予定である。 |
(2) |
サマータイム制度導入に向けた動きが活発化してきた背景として、京都議定書の発効により、地球温暖化防止への取り組みが喫緊の課題になってきたことが挙げられる。サマータイム制度導入による直接的な温室効果ガス削減効果は限定的であり、また一定の初期コストも負担する必要があるが、年2回の時刻切り替え時に国民の環境意識を喚起し、これによって間接的に温室効果ガスを削減する効果が期待されている。 |
(3) |
今回のサマータイム制度導入議論の特徴は、政府・議会が前向きになっているだけでなく、企業・労働組合・自治体でもサマータイム制度を支持する動きが広がっていることである。この背景には、環境問題の重要性が広く認識されてきたことに加え、生活の質向上といった側面も重視されていることが指摘できる。 |
(4) |
今後、サマータイム制度導入を機に国民・企業の環境意識が一段と高まると予想されるなか、わが国としては、環境問題を経済活動に対するマイナスの側面(負担)として捉えるのではなく、日本企業が得意とする省エネ機能を強化させ、さらに海外にも省エネ化による環境負担軽減の動きを広めることを通じて、環境保全と経済成長の両立を図っていくことが有力な選択肢である。 |