2005年03月08日 |
GDPデフレーターの下落幅縮小をどう考えるか? |
【要旨】 |
1. | 2004年後半から、GDPデフレーターの下落幅が急速に縮小。 |
2. | もっとも、足元の下落幅縮小には一時的な要因もあり、当面を展望すれば、(1)需給ギャップの拡大、(2)一時的な押し上げ要因の剥落、を背景に、GDPデフレーターは小幅下落傾向をたどる見通し。 |
3. | 中期的に展望すると、中国経済の発展を前提に置けば、(1)需給ギャップの縮小、(2)素材価格上昇に伴う価格転嫁の進展、を背景に、GDPデフレーターが上昇に転じることも展望可能に。 |
4. | もっとも、こうしたGDPデフレーターの下落幅縮小/上昇は、コストプッシュ的な側面が強いため、すべて肯定的に解釈することは困難。すなわち、(1)価格上昇による需要押し下げ効果が働くこと、(2)企業の利益率低下が人件費抑制スタンスを強め、内需の回復力を遅らせること、といったマイナス面も存在。 |
5. | したがって、GDPデフレーターが上昇に転じただけで、政策スタンスを大きく転換する必要性には乏しい。少なくとも、企業から家計への所得分配が確認されるまでは、金融引き締め政策への転換、増税路線の強化には慎重な姿勢を維持すべき。 |