1.10~12月期は小幅のプラス成長
2004年10~12月期の実質GDPは前期比+0.2%(年率+0.9%)のプラス成長となった見込み。純輸出が2四半期連続のマイナス寄与となったものの、個人消費・設備投資が緩やかに増加したほか、公共投資の減少ペースも鈍化したことが背景。
【需要項目の動き】
イ)個人消費 個人消費は緩やかな増勢が持続。暖冬により冬物商品が伸び悩んだほか、所得の回復が遅れるなかで家計調査の消費支出などで全体的にやや弱含む動きも顕在化。もっとも、デジタル家電や自動車などの耐久財支出が全体を下支え。液晶テレビ・DVDレコーダーの10~12月期の国内向け出荷台数は、いずれも前年同期比+80%超の大幅な増加。また、4四半期連続の住宅投資拡大に伴い、帰属家賃の増勢も高まった。
ロ)住宅投資 4四半期連続の増加。夏場にかけて増加した持ち家・分譲住宅の着工分が進捗したことが背景。
ハ)設備投資 緩やかな増勢が持続。鉱工業生産の調整局面入りを受けて、製造業では鈍化傾向にあるものの、非製造業が堅調を維持した模様。なお、これまでも1次QEでは過小推計される傾向があるため(建設投資の推計に原因があると思われる)、法人企業統計が織り込まれる2次QEでは上方修正含み。
ニ)政府支出 政府消費は、医療・介護費の拡大により、緩やかな増勢が持続。公共投資は、自然災害の復旧事業により市区町村を中心に持ち直したため、減少幅が縮小。
ホ)輸出 12四半期連続の増加となり、7~9月期に比べ増勢もやや拡大。アジア向けの増勢鈍化などを背景に、数量ベースでは前期比減少に転じたものの、高付加価値化の進展により実質ベースではやや持ち直し。
ヘ)輸入 アジアを中心に製品輸入が堅調を維持したことから、年率二桁の高い伸び。もっとも、月次でみると、国内景気のペースダウンに連動して増勢は鈍化傾向に。
ト)デフレーター 公務員給与の下げ止まりによる政府消費デフレーターの下落幅縮小を背景に、下落ペースが鈍化。もっとも、個人消費デフレーターの下落が続いているほか、原油・一次産品価格の上昇によるデフレーター・名目GDPへの押し下げ圧力は残存。
2.当面、景気は調整局面が持続
2005年1~3月期も、製造業の生産調整、輸出の鈍化傾向が続くとみられることから、景気の調整局面は持続する見込み。もっとも、公共投資による景気押し下げ圧力が一時的に消えること、民間建設投資が堅調を維持することなどから、マイナス成長は回避される公算。 2005年度入り後を展望しても、海外経済が減速しながらも底堅く推移すること、国内の企業部門の体力も強まっていることを勘案すれば、景気が失速するリスクは小さく、生産調整が終了する2005年半ばごろに景気は上向きに転じる見通し。
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