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2005年01月12日

災害復興財政の課題

【提言】

 大規模な災害が起きた場合、巨額の財政需要と大幅な税収減が生じるため、復旧、復興事業を行うための財源対策は極めて重要な課題となる。被災した自治体が自らの判断と責任において機動的な対処が可能となるよう、速やかな財源の確保が可能となるような仕組みを、予め確立させておく必要がある。

(1) 応急・復旧期の財政支援の充実
応急・復旧期の事業では、法律に定められたものについては特例も設けられ、国から被災自治体への厚い財政支援が行われた。しかし、仮設住宅の維持・管理等法的に財政支援の規定のない事務事業が多く、また災害の規模が極めて大きかったため、神戸市の裁量で使える一般財源に影響を与えた。これらの事業についても国からの補助金等、支援の対象とすべきである。
(2) 復興期の包括的補助金の創設
応急・復旧が一段落した後の復興事業は平時の事業と区別がつきにくい面もあり、阪神・淡路大震災においては、予算枠としては配慮されたものの優遇措置は少なく、従来の事業と同様の補助金交付、市債の発行許可とその償還に対する交付税措置という方法で行われた。補助金や市債は充当する事業が限定されるため、被災自治体の政策の自由度が阻害される傾向がみられた。また、復興事業の財源として市債の発行が急増し、神戸市の財政は長期にわたって悪化することになった。このため被災自治体が自らの判断と責任において復興のための事業を行うことを可能とするような、包括補助金制度の整備が必要である。復興事業のための包括的な自主財源を、被災規模に応じた補助金として国から一括交付する仕組みを作る必要がある。
(3) 復興基金の制度化
行政の仕組みは、大規模な災害に十分に対応できない面がある。例えば、予算折衝や議会の議決など支出決定までに時間がかかり、十分な情報がなく刻々と変わる被災地のニーズに対し、臨機応変な対応が難しい。また、個人補償などの支援策を行うことは困難である。従って、このような点を補完する阪神・淡路大震災復興基金のような仕組みが必要となる。復興基金を現行のような災害ごとの特別措置としてではなく、災害規模に応じて速やかに創設する仕組みを予め作っておく必要がある。
(4) 災害復興システムの確立
災害からの復旧・復興は被災自治体が中心となり、国の支援を受けて行うことになるが、平時から国や自治体で可能な対応を制度として整えておくことが必要である。「生活再建支援法」の充実や「住宅再建支援共済制度」など、災害が発生したときに必要となる制度を早急に検討し、災害復興の施策を体系として整備しておくべきである。
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