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本レポートでは、近年における輸出決定要因の変化を分析するとともに、今後の景気を大きく左右する輸出の先行きを展望する。 |
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90年代末以降、為替変動は輸出数量の動きを決める際に重要な要素ではなくなってきている。 |
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近年のわが国輸出の決定要因の特徴として、(1)地域別には米国景気の直接的な影響力が相対的に低下する一方、中国の景気変動の影響度が高まっていること、(2)品目別にはIT製品の影響が大きくなっていること、を指摘できる。 |
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このところの輸出スローダウンの中身を検討していくと、地域別には、近年輸出市場としての重要性を高めてきた中国およびその他アジア向けの増勢鈍化が目立つ。中国向けの減速は沿海部における外資系企業の投資活動の鈍化、その他アジア向けについては世界的なIT投資の減速がそれぞれ背景にある。 |
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「中国」および「IT」という輸出の2大決定要因をめぐる環境が冴えないなか、中国・アジア向けを中心に、わが国の輸出は当面、盛り上がりに欠ける展開が予想される。 |
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輸出のスローダウンが続くもとで、わが国の景気は当面下振れしやすい状況が続くと予想され、2005年下期回復シナリオが後ズレする可能性もある。 |