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ビューポイント No.2024-003

トランプ再登板の可能性と米貿易・インフレ・ドルへの影響

2024年04月23日 牧田健


バイデン対トランプの再戦となった今年の米大統領選挙では、関税のさらなる引き上げなどの保護主義や移民規制強化等を掲げるトランプ氏が勝利する可能性がある。これまでの米大統領選挙は景気が主要な決定要因であったが、近年は景気との関係が希薄化している。その背景には、米国社会の分断深刻化が指摘可能。それに伴い、マクロ景気の動向だけでは選挙の行方を見通せなくなっている。

トランプ前政権は、対中国向けで関税の大幅な引き上げを行ったが、輸入浸透度の上昇基調に歯止めがかからず、製造業の競争力強化にはつながらなかった。中国からの輸入は他国に振り替わるにすぎず、むしろ中国から米国以外の国・地域向け輸出の増加で中国の存在感を高める結果に。また、物価押し上げにも作用。

移民については、トランプ前政権下でインフレを招くことなく大幅に抑制されたが、ベビーブーマー世代の引退等の影響を受け、足元の労働需要は移民によって賄われており、移民規制強化は賃金上昇圧力を高めインフレ再燃を招く公算が大きい。

為替については、世界経済の相互依存関係の強まりや地政学リスクの高まりを受け、トランプ前政権が意図したドル安は進行しなかった。こうした流れが一段と強まるなか、トランプ氏の政策はむしろドル高を招く結果となる可能性が高い。ただし、歴史的なドル高水準にあることから、追加のドル高余地は限られるだろう。

バイデン大統領が勝利しても、政策面での前進が期待できない分野は多く、保護主義的な姿勢に大きな変化は生じないだろう。また、バイデン続投でも、移民抑制の動きが強まる公算が大きい。EV車に関しても、積極的に推進する可能性は低いだろう。

過激な政策を掲げるトランプ前大統領の再登板に対する備えが必要なことは論を俟たないが、そのままでは経済界から強い不満の声が上がる可能性が高く、実行可能性な政策内容に落とし込まれていく可能性が高い。一方、トランプ前大統領が負けても、一部の人の本音を代弁している以上、バイデン陣営も政権運営に当たってはその主張に一定の配慮をせざるを得ないだろう。

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