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新たな支援機器開発領域の開拓及び活性化のための実態調査

2024年04月23日 城岡秀彦、石塚渉、板花俊希、石塚真実


*本事業は、令和5年度障害者総合福祉推進事業として実施したものです。

1.事業の背景・目的
 支援機器とは、障害者の自立や社会参加を支援する機器の総称である。支援機器の開発および製品化に対する補助事業(厚生労働省「障害者自立支援機器等開発促進事業」)が平成22年から行われているが、障害者を取り巻く環境の変化やテクノロジーの発展により、求められる支援機器は変化していると考えられる。本事業では、支援機器の開発状況および障害者のニーズを把握し、今後新たに開発が求められる支援機器領域を調査した。

2.事業の概要
 まず、支援機器の開発動向を把握するために、市場に流通している機器や公的機関からの開発支援を受けた機器を一覧化した。次に、障害者の生活実態・課題に関する先行研究調査を行い、支援機器に対する障害者および支援者のニーズを把握した。これらの調査結果に基づき、ニーズがあるものの機器開発が十分に行われていない領域について仮説を構築した。最後に、その仮説検証を目的として、支援機器開発の有識者および支援機器開発企業や障害者支援団体等に対するヒアリング調査を行い、今後開発が求められる新たな支援機器開発領域を整理した。

3.事業の成果
 本事業の成果は、今後開拓が求められる支援機器開発領域として7領域13項目を整理したことである(図表1)。特に、緊急時の情報取得・発信支援、就労環境を向上する支援、感覚特性に応じた支援、ことばを平易な表現に翻訳する支援は、これまでにない新規性の高い開発テーマである。これらの機器開発が進むことにより、障害者本人の自立や社会参加の促進が期待できる。
 加えて本事業では、支援機器開発活性化に向けた課題を整理した。特に、個々の障害者の心身機能や生活状況に適した機器の選定や、心身機能や生活状況の変化に応じた機器調整を行うための仕組みの構築が十分でなく、開発された支援機器が障害者や支援者の元に十分届いていないことが明らかとなった。今後、支援機器の普及実態に関する調査を行い、支援機器の普及促進に資するポイントを整理することが求められる。



4.今後の課題
 今後の検討課題として、電源や電子基板等を必要としない樹脂や繊維、金属等で構成される自助具等のアナログな機器を含めた支援機器の開発促進領域の整理が挙げられる。障害者が自立した生活を送る中では自助具等も広く活用されているが、本事業では、テクノロジーの発展等に伴う先進的な支援機器に焦点を当てて調査を行ったため、自助具等の開発動向やニーズに関しては十分な調査を行うことができていない。今後、アナログな支援機器も対象に含め、より実態に近い包括的な調査を行い、開発が求められる支援機器領域を整理する必要がある。

※本調査研究事業の詳細につきましては、下記の報告書および別冊資料をご参照ください。
報告書
別冊資料「新たな支援機器開発領域(7領域13項目)」


【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 コンサルタント 城岡秀彦
E-mail:shirooka.hidehiko@jri.co.jp
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