コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2024-005

豪生産性委員会の生産性向上に向けた取り組み ―客観的な分析や市民との対話で高い信頼―

2024年04月18日 後藤俊平


近年、多くの国で、調査・提言に特化する諮問機関を設立し、生産性向上に向けた有効な政策の立案・実行を図る動きがみられている。なかでも、他国に先がけて設立されたオーストラリア生産性委員会は内外から高い評価を得ており、多くの国のモデルケースとなっている。

豪生産性委員会は、導入が検討されている政策が経済にどのような影響を及ぼすか、あるいは、すでに導入された政策が事後的にどのような影響を及ぼしているかを調査し、今後の政策のあり方を提言している。委員会自身は政策の実行権限を持たないが、その分析結果や提言内容は、政府や議会から尊重され、実際の政策に活用されている。

豪生産性委員会が高い評価を得ている背景には、専門性の高い客観的な分析と、国民との綿密な対話がある。とくに、豪生産性委員会の調査は、ステークホルダー・エンゲージメントが充実している点が特徴として挙げられ、意見聴取の場が幅広い国民に開放されているほか、委員会自らも関係者との対話に積極的に出向いている。こうした対話が分析や提言の充実にもつながっているとみられる。

豪生産性委員会の取り組みが、実際の生産性の向上にどの程度寄与したかを測るのは難しい。ただし、オーストラリアでは1990年代以降に実施された規制緩和が生産性を高めており、そうした案件に対する中心的なかかわりを通じて委員会が一定の役割を果たしてきたと推測される。

翻って、わが国をみると、ステークホルダー・エンゲージメントが必ずしも十分ではない点など、政策形成過程の課題を指摘できる。政府は関係者との対話を活用しつつ、生産性向上に向けた分析・提言機能を強化していくべきである。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ