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国際戦略研究所 田中均「考」

【毎日新聞・政治プレミア】裏金問題も北朝鮮も 「戦略」なき岸田政権

2024年04月11日 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問


 岸田文雄政権の支持率が低迷している大きな理由の一つは、裏金問題の処理など内外の課題に十分な戦略が感じられないことだ。結果に確信を持つことなく、場当たり的に行動に出ていると感じられる場面が多い。

自民党裏金問題に見る場当たり的対応
 安倍派を中心とする裏金問題は、その規模や長期にわたったことなどを考えれば、自民党の根幹を揺さぶる大事件であることは誰の目にも明らかだ。しかし、問題の対処にはプロフェッショナリズムを欠いていた。

 これまでもたびたび指摘されてきたとおり、政治資金の透明性はもともと低い。それを一層不透明にする裏金を作ること自体、職業倫理に真っ向から反している。安倍派が権力の庇護(ひご)の下に長年続けてきたこのような行為を一掃するという明確な目的意識が自民党内で共有されていれば、必要な手立てをとれたはずだった。

 ところが事態を究明すれば、より自民党のダメージが大きくなると考えたのか、客観的な事実究明は置き去りにしたまま、派閥の解消や処分が先行していった。

 岸田氏は率先して岸田派の解消を言い、派閥解消の旗をふり、政治倫理審査会にも「フルオープン」で自ら出席するという行動に出た。そして処分にあたっても合理的説明よりも、早く処理を終えることを優先した。

 もし岸田氏の目的が自民党の危機的事態を何とか回避したいということならば、一定のシナリオの下で結果を作る戦略を持たねばならない。

 何の準備もなく派閥解消を打ち出しても同じような政策グループとなるだけだし、政治倫理審査会も、誰も真実を吐露することにはならないとわかっていたはずだ。

 事実究明を行わない処分は恣意(しい)的といわれてもやむを得ないし、真剣に考えた処分とは受け取られないだろう。結局は岸田氏が場当たり的にとった生き残りのパフォーマンスととられる。

 自民党という長年政権与党である政党が戦略なく行動し、むしろ墓穴を掘る結果となったと評価されるのではないか。....

続きは、毎日新聞「政治プレミア」ホームページにてご覧いただけます。
https://mainichi.jp/premier/politics/田中均/
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