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リサーチ・アイ No.2023-095

インドネシアの新政権、産業育成の中国依存が課題 -懸念される産業保護主義や再エネ移行の遅れ -

2024年03月25日 野木森稔、熊澤知喜


インドネシア中央選挙管理委員会は、2月の大統領選挙でプラボウォ氏が当選したと発表。新大統領の経済面の課題は、過剰な中国依存の軽減。中国からの直接投資が足元で急増するなど、中国企業によるインドネシアへの進出が目立つ状況。こうした動きは、①産業保護主義の強まり、②西側諸国との軋轢の強まり、③再エネ移行の遅れを招き、経済に悪影響を及ぼす恐れ。

第1に、産業保護主義が広がる可能性。同国では近年、鉱物の禁輸を実施したうえで、中国からの協力を得ながら国内産業を育成。新政権は、同様の政策を水産資源や農業分野にも拡大する方針。過度な保護主義が強まれば、経済効率の低下で経済が弱体化する可能性。

第2に、西側諸国との関係が悪化する可能性。同国ではニッケル生産量が急増し、市場価格を大きく下押し。これを受けて、豪州は在インドネシア中国企業による緩い環境基準の適用で価格を引き下げている点を批判。米国は同国産ニッケルをインフレ削減法による補助金給付の対象としない方針。EUは強制労働や森林伐採を問題視し、インドネシアからのパーム油の輸入規制を導入しており、同様の措置がニッケルにも広がる可能性。

第3に、再エネ移行が遅れる可能性。インドネシアではニッケル産業拡大を背景に石炭使用量が急増。2022年に日米欧の支援で脱炭素・石炭使用削減を促進する計画「JETP」でインドネシアへの資金提供が決まったが、ほとんど使われていない状況。同計画では一部産業用石炭は計画の削減対象から除外。中国支援による産業育成を優先し、脱炭素計画が進展しない恐れ。

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