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リサーチ・アイ No.2023-092

英国政府が野党の歳入増加策を先取り ― 将来の財政運営が混乱する恐れ ―

2024年03月08日 藤本一輝


英国では、政府が春の予算編成方針で減税案を発表。これは、与党保守党の支持率低迷の打開策としての側面も。2024年末ごろに総選挙を控えるなか、高インフレや景気低迷に対する英国民の不満は高まっており、保守党の議席数は労働党を下回るとの見方が優勢。減税財源を確保するため、政府は野党労働党の看板政策を先取りし、非定住者への税制優遇措置を廃止することで歳入増を図る方針。

税制優遇措置の廃止は、高額納税者の国外流出を招き、将来の財政運営を困難にする可能性。非定住者の多くは英国外出身の高所得者。アイルランドをはじめとする欧州各国には同様の税制優遇措置があることから、非定住者は同措置のある他国に流出する可能性。英財務省はその場合、少なくとも年間3億5000万ポンドの歳入が減少すると試算しており、中長期的な税収減につながる恐れ。

さらに、労働党が提案していた税制優遇措置の廃止を保守党が実施することにより、政権交代が生じた場合の政策運営が混乱する可能性。労働党の検討していた政策は、税制優遇の廃止で生じた財源を、保険・教育分野の公共サービス拡充などに活用するもの。もっとも、今般の保守党の決定で労働党はその政策を封じられ、保守党の減税策により「財政余地」も縮小する公算。政権奪取後に労働党が政策を実現するためには新たな財源確保が求められ、再増税など一貫性のない政策で経済の先行き不透明感が一段と増す恐れあり。


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