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ビューポイント No.2023-026

対外開放加速に舵を切った中国の外資政策の狙いと成否

2024年03月01日 枩村秀樹佐野淳也


中国政府は昨秋から、外資参入の促進に向けて大きく舵を切っている。具体的には、①製造業での外資参入規制の全面撤廃、②サービス業での開放拡大、③公正な競争環境の整備、の3点である。こうした動きは、中国経済が内需不振にあえぐなか、政府が対中直接投資を経済回復の起爆剤として位置づけたものとが考えられる。

その一方で、外資企業に対する活動規制も強化している。とくに懸念されるのは、①対外関係法の施行、②反スパイ法の改正、③データ三法の制定、の3点である。

対外開放と活動規制強化という相矛盾する政策のうち、中国政府がより重視するのは活動規制強化の方である。政策の優先度が成長重視から経済安保重視へ大きくシフトするなか、中国政府として、外資企業へのコントロールを強化する方針は譲れないところである。今回の対外開放策は、活動規制強化で対中事業意欲の減退が見込まれる外資企業に対する「アメ」と位置付けられる。

活動規制を強化しながらも、外資導入を図ることが可能とする中国政府の強気なスタンスの背景には、世界第2位の経済規模をもつ自国経済への絶対の自信があると考えられる。しかし、①市場規模の頭打ち、②収益性の低下、③事業展開の高い不確実性、を勘案すれば、外資企業にとって中国市場の魅力は大きく低下している。

外資参入が容易になっても、参入後の活動を制限する規制が強く、市場の魅力度も低下していることを踏まえると、中国政府の思惑通りには外資導入が進まず、今般の開放政策は今後失策として評価される可能性が高い。

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