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リサーチ・アイ No.2023-088

懸念される米国の商業用不動産市況の落ち込み ― 不動産価格の大幅下落で米中小銀行の4割が自己資本を大きく毀損―

2024年02月28日 立石宗一郎


米国では、商業用不動産の調整局面が長期化。とりわけ、オフィス市況の落ち込みが大きく、オフィス価格指数は、9カ月連続で前年比2桁減に。FRBによる利上げの影響で資金調達コストが大きく増加したことに加え、コロナ禍を機に在宅勤務が普及したことから、オフィス需要が減少し、価格を押し下げ。コロナ禍が終息した後も、米国のオフィス出社率は50%程度で頭打ちとなっており、空室率は20%近くと過去最高水準へ上昇。

こうした商業用不動産市場の不振で一部の米地方銀行の経営が悪化。商業用不動産向け融資の不良債権化に備えた多額の引当金計上が主因。中小銀行は総資産に占める商業用不動産向け融資の割合が3割を占め、今後も他の地銀で同様の経営悪化が生じる可能性。

FRBが大手銀行を対象に実施するストレステストの想定と同様に、商業用不動産価格が40%下落した場合、担保価値の毀損で信用コストが増加する結果、資産30億ドル以上の銀行のうち約4割の銀行が自己資本比率規制の最低水準を割り込むほか、2%の銀行の自己資本比率がマイナスとなる計算に。こうした銀行の総資産が全体に占める比率は10%程度と大きくはないものの、中小銀行に対する経営不安が高まれば、金融市場の動揺などを通じて実体経済を大きく下押しする可能性に注意。


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