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XR技術のビジネス活用の動向 ~メタバースからデジタルツイン、CPSへ~

2024年02月28日 先端技術ラボ 金子雄介


本レポートは、メタバースを含むクロスリアリティ(XR.Extended Reality)技術のビジネス活用について、動向を整理し、活用に向けた見解を示した。

XRとは、物理空間とデジタル空間を融合し、体験を創造する技術の総称であり、AR(拡張現実)・MR(複合現実)・VR(仮想現実)などが含まれる。メタバースは、ユーザ各自のアバターを通じてコミュニケーションや経済活動ができる、VRの一形態である。ARは製造業などで活用が進んでいる。加えて今後は、ヘッドマウントディスプレー(HMD)を用いたMRやVRの活用が企業でも本格化する。

ビジネスユースXRは、一般消費者向けメタバースと要件・性格が異なる。ビジネスユースXRは、エンタメ分野などで重視される創作性・非現実性は要件外とし、物理世界をサイバー空間に忠実に複製する再現性(デジタルツイン)を要件とすることが多い。また、物理空間とサイバー空間が密連携するCPS(Cyber-Physical System)のユーザインタフェースとしてXRが用いられ、空間コンピューティングの要素技術となっている。

メタバースの市場規模は、全世界で820億ドル(2023年)、日本国内で2,851億円(2023年度)であり、ビジネス(執務・教育)用途が占める割合は約3割と推定。また、VR/AR端末の世界出荷台数(2023年)のうちビジネス用途は200万台程度と推定。

ビジネスユースXRの本格活用の開始時期は、ビジネスユースの次世代端末が出揃い、企業での概念実証・試行が一巡する2025年~26年からと予測。企業内で常用されるチームコミュニケーションツールにもXR関連機能が順次搭載され、これらとのシームレスな統合が中長期的に進むと予測。

ビジネスユースXRの用途を、集会・催事、教育・訓練、試作・試験の3つに大別。試作・試験は製造業・建設業が主要業種となる一方、教育・訓練や集会・催事は幅広い業種に適用できるため、今後の導入のボリュームゾーンになると予測。導入には、ユーザインタフェースとしての高精細デジタル空間と、空間に同期させる外部情報(IoTセンサー情報)やAIなどによるシミュレーション・解析結果との両方を整備・運用する必要がある。後者のコストの方が大きいため、デジタル空間だけでなくシステム全体のバランスが重要である。

参考
・金子雄介、間瀬英之、西下慧「メタバースの概要と動向 ~ビジネスシーンでの活用に向けて~」先端技術リサーチ、日本総合研究所先端技術ラボ(2022年7月1日)
・金子雄介「メタバースからCPSへ:仮想空間の企業での活用に向けて」ITUジャーナル、53 (8) 20-24(2023)

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