リサーチ・フォーカス No.2023-044 総統選後の台湾経済展望 ― 頼氏勝利により現行路線継続だが、経済リスクは高まる ― 2024年01月19日 野木森稔、佐野淳也台湾では頼清徳氏が新総統に選出された。同氏は親米のスタンスを持ち、近年、台湾が重視してきた米国との経済協調を強化する方針は継続される見通しであり、台湾経済へのさらなるプラス効果が期待される。ただし、①政策運営の手詰まり、②中国よるけん制強化、③トランプ氏再選などがプラス効果を損なうリスクに注意する必要がある。総統選と同時に実施された議会選挙で与党は過半数割れとなり、蔡政権時に比べて政策運営が難しくなっている。また、中国は選挙結果に対して否定的なコメントを発しており、経済制裁などを強める可能性が高い。さらに、米大統領選挙ではトランプ氏が優勢との見方が多く、同氏が再選される場合、米国との経済関係が希薄化する恐れがある。これらのリスクが顕在化すれば、台湾の経済成長を大きく阻害すると考えられる。さらに、中国のけん制強化やトランプ前大統領の返り咲きによって、米中対立が一段とエスカレートする恐れもある。その場合は、台湾を取り巻く地政学リスクが急速に高まり、先端半導体などの供給が不安定化する可能性も高まろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)