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リサーチ・アイ No.2023-074

欧州で広がる移民規制の強化が成長抑制要因に ― ユーロ圏の潜在成長率は1%割れも ―

2024年01月17日 藤本一輝


欧州で移民排斥の機運が高まりつつある状況。2023年10月のドイツ州議会選挙や11月のオランダ総選挙では反移民を掲げる極右政党が支持を拡大。12月にはフランスで移民受け入れを厳格化する法案が可決し、移民による公的給付の受給や国籍の取得のための要件が厳格化。さらにEUでも不法移民の受け入れを厳格化する新たな制度案の導入に関係機関が合意。

この背景として、移民の急増に伴う反移民感情の高まりを指摘可能。2010年代後半以降、欧州各国は自国民の労働力の伸びが鈍化するなかで移民の受け入れを拡大。コロナ禍の水際対策で移民受け入れが一時的に制限されたものの、その後は、移民の流入が再加速。こうした移民の急増は賃上げ圧力の緩和に作用した一方で、社会的な軋轢を惹起。欧州委員会の調査でも、多くの市民がEUの直面する問題として移民を指摘。

今後も、欧州議会をはじめ多数の選挙が予定されるなかで、移民規制の強化が一段と広がる可能性。移民規制は、労働投入を抑制することでユーロ圏の潜在成長率を下押しする公算大。欧州委員会の試算によると、労働力人口の伸びが鈍化することを主因に潜在成長率は低下する見込み。仮に、移民規制が強まり、EU外からの移民流入が来年から約3割減少した場合、2027年には潜在成長率が1%を下回る計算。労働需給のひっ迫で、賃金や物価が慢性的に上昇する恐れも。


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